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記事前半で中国のリスクとして挙げられている二つをまとめると、
″国内の不安定な政治体制や経済状況″:中国国民は、経済成長と豊かな生活を実現することを条件とし、共産党一党独裁という体制を認めてきた。そのため、経済成長の停滞は独裁を支える正当性を失うことを意味し、共産党にとって深刻な懸念である。そして中国の停滞は世界経済に波及する、国際的な問題でもある。
″対外膨張政策″:清代の「屈辱の時代」から鄧小平による開放改革路線での対外的な低姿勢の時代を経て、ついに経済的にも成長を遂げ大国化したという文脈の中で、″今まで我慢してきたものを要求する″という機運が高まり、領有権問題に見られるような対外膨張政策に現れ始めている。
そして、おそらくこの二つは無関係ではない。共産党による中国支配を正当化するための道具として、経済成長が機能しにくくなったために、対外的なナショナリズムが台頭したという事情もあるのだろう。
また、アメリカでも対中政策として明確な答えを作れていないというのは、面白い。追う側の中国が有効な外交政策を積み重ねているのに対し、追われる側のアメリカは出遅れ気味で、明確な戦略を決めるには至っていないとのこと。
このような国際情勢を考慮すると、日本の取るべき戦略も分かりやすくなる。記事の主張を短くまとめれば、「中国への経済的依存は不可避、国力の差から米国との安全保障体制は維持または強化するべきだが、安全保障上のリスクを出来るだけ低減するためには不要な対立を避け、対立する国とも協力関係を築く必要がある」といったところ。
最後の言葉は、まさに現在の民間に必要なことで、大きな課題だと思う。
″肝心なのは政府関係者のみならず、民間の人々も地政学リスクについて知見を深め、国際関係の現実を直視することです。そうして初めて、国内で外交に関する有効な議論が広まり、日本は政治的にも経済的にも、国際的な存在感を高めていけるのではないでしょうか。″
我々、経営者は、米国を軸とした世界に加え、中国を一つの覇権国家とした世界を明確に意識する必要がある。
この意味は、経営判断における価値観、守るべきルール、求められる行動様式など、ソフトレイヤーでの変化もドラスティックに起きることも覚悟しないといけない。
中国は歴史的に見て膨張に入る事は間違いない。
日本は歴史的に中国の膨張期にはたくさんのものを学んできた。アメリカだけから学べばよい時代は終わり、中国をマーケットと捉え、キチンと学ぶべきだと思う。
中国がやられて嫌な事は明確に分かっているのだから刺激せずに。
【引用開始】従来標榜された「自由と繁栄の弧」的構想は、当時であれば有効であったのかもしれません。しかし今では、アメリカの力が相対的に衰え、中国のポジションが大きくなっています。価値観と同じ国とのみ連携しても、すぐに立ち行かなくなるでしょう。今大事なのは、「価値観の異なる国とどう付き合っていくか」という知恵です。【引用終了】
世の中には、いろいろな価値があるから、それをお互いに認めて突き合っていくという議論は、日本国内の個人の交際であれば成り立つかもしれない。ただ、国と国との関係ではどうか。
一党独裁、少数民族の弾圧、言論の自由なき社会というのは「価値観が違うよね」では済まないのではないか。そもそも中国の国民自身が自由主義や民主主義を望んでいるのではないか。中国政府とは価値観が違っても、中国の国民とは価値観が一緒かもしれない。
冷静な情勢分析にもとづく現実的な提案はいいけれど、そこに少しの理想主義が欲しい。
最近の中国の言動を見ていると、かつてよりも政治、経済、軍事の面において力をつけていることがうかがえるが、アメリカを凌駕するほどまでに覇権を確立しているとは言い難い。AIIBのように国際公共財を提供する意思は提示しつつも、その提供にあたって全てを中国がまかなえているわけではない。
アメリカが相対的に衰退する中で、アメリカを補助しつつ、その中に自らにとって望ましい国際秩序の構築を図ろうとする意思が見て取れる。中国のこの「準覇権国」のような姿勢は経済力に裏付けられていると考えるべきで、足元の経済悪化が中国の勢いを削ぐ可能性も否定できない。