Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 24日 ロイター] - 日銀は30―31日の金融政策決定会合で、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定するとともに経済・物価情勢を点検し、追加利上げの要否について議論する。日銀内では国債買い入れについて月額3兆円程度まで減額するとの市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。追加利上げに関しては、その必要性ではおおむね一致しているものの、弱含んでいる消費動向を確認すべきとの意見もあり、慎重に時期を判断するとみられる。

<減額計画は「コンセンサス並みに」の声>

19日に公表された債券市場参加者会合の議事要旨では、月間買い入れ額について3兆円程度までの減額を要望する声が相対的に多かったことが示された。日銀では、2年で3兆円程度までの減額について、違和感はないとの声が出ているほか、市場の動揺を抑制する観点から、市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。

関係筋によると、減額は段階的に行い、減額の初期段階で買い入れ額を一気に減らす可能性は低いとみられる。減額の計画期間は、26年3月末までなど2年未満とする可能性もある。

市場参加者からは、まずは5兆円程度までの減額にとどめるべきとの意見や買い入れ額をゼロまで落としていく意見があったが、「相応の規模」で減額し、市場に不測の事態を招かないという意味で、極端な数字となる可能性は低いとみられる。

<追加利上げ、素地は整いつつある>

植田和男総裁はこれまで、日銀の見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば「緩和度合いを調整していくことになる」と述べてきた。日銀は3月に大規模緩和の終了を決定。政策金利を0―0.1%に引き上げたが、実質金利は非常に低い水準にあり、追加利上げしても実体経済への影響は軽微との見方が聞かれる。

日銀内では経済・物価情勢が想定通りに進んでいることに加え、円安に伴う物価上昇リスクが強まっているとして利上げを支持する声が広がりつつある。

一方、足元の個人消費の弱さへの懸念は強く、追加利上げに当たっては消費の持ち直しを今後のデータで確認する必要があるとの指摘が出ている。

日銀では、追加利上げに向けた素地は整いつつあるとして、今回の会合で利上げが見送られても、近い将来の利上げを予想する向きもある。

<展望リポート>

日銀は決定会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する。建設総合統計の大幅下方修正に伴う1―3月期の実質国内総生産(GDP)の下方修正を踏まえ、2024年度の実質GDPの予想は前回4月時点の前年度比0.8%増から小幅に下方修正する見通し。しかし、経済・物価の基調に関する見通しは従来予想通りの展開になっているとの見方が多い。賃上げの波及を背景とする個人消費の緩やかな増加見通しは維持する見通し。