2024/7/17

ファイナリストが伝授。エンジニアこそ、ピッチコンテストに出場すべき理由

日々、革新的な技術やプロダクトが生まれる現代。しかしそれは漠然とこの世に生まれるわけではない。その裏側には、日夜手と頭を動かし、現実を変えようと奮闘するエンジニアたちの「知られざる物語」がある──。
2024年11月19日、経営を“動かす”エンジニアの挑戦を讃える「Startup CTO of the year 2024 powered by Amazon Web Services」が開催される。
昨年のピッチの様子はこちら
今年は、PreシリーズA〜シリーズB相当の未上場企業に所属するCTO及びCTO職に準ずるエンジニアを対象に、「経営インパクト」「組織開発力」「リーダーシップ」という3つの評価基準をもとに表彰を行う。
ただいま絶賛エントリー募集中の本アワード(締め切りは8/9まで)だが、技術サイドのトップとしてピッチコンテストに出場することへのメリットやイメージが湧かない人も少なくないのではないか。
そこで今回は、昨年白熱のピッチコンテストを繰り広げたファイナリストからエントリー理由や出場した感想などリアルな声をお届け。エントリーに悩む読者はぜひ参考にしてほしい。

①応募理由:なぜエントリーしたのか

1.アスエネ 石坂 達也
応募理由は、「エンジニア採用を加速させたい」という思いがあったからです。当時、今後の企業成長のために採用を強化したいと考えていた一方で、開発組織にフォーカスした外部発信を十分にできていませんでした。そこでまずは少しでも認知度を高めたいと考え、アワードに応募しました。

一方で応募するうえで心配だったこともありました。自分は人前で喋ることが得意ではなく、あがり症だったことです。ただ今後も会社を代表して情報発信する機会が増えることを見据え、成長の機会として挑戦することにしました。
アスエネ株式会社 VPoE 。大学院を卒業後、楽天に入社し、Webエンジニアとして出前宅配サービスやCPC広告の入稿システムの開発・運用を担当。 2016年よりリクルートにて業務支援サービスのシステム開発・運用に従事。その後、飲食領域および美容領域の開発統括として開発組織のマネジメントに従事。アスエネではVP of Engineering(VPoE)として、プロダクトの開発・運用や組織運営を行っている。
2.tacoms 井上 将斗
CTOの知人からイベントの存在を聞き、採用広報に力を入れていきたいという思いから応募しました。当時、弊社はリファラルや業務委託中心で採用を進めていたフェーズから採用拡大期に移るタイミングであったため、広報に力を入れたいと考えていました。
株式会社tacoms CTO。1998年生まれ。大学2年時より医療系メガベンチャー、マーケティング系スタートアップなどの長期インターンを経験。大学在学中の2020年3月に株式会社tacomsに参画。プロダクト開発業務や開発組織作り、お客様やパートナー企業との折衝、プロダクトマネジメントなど事業グロースに関わる業務に幅広く携わる。
3.ミチビク 金杉 優樹
Xでスマートラウンド CTOの小山さんが、Startup CTO of the year 2022で優勝したというツイートを見てこのピッチコンテストを知りました。

IVSやICCなどCEO向けのピッチコンテストは聞いたことがありますが、CTO向けのピッチコンテストはほとんどありません。そこで「ミチビクを多くのエンジニアの方に認知してもらえるきっかけ」になるのではと考えました。

応募するうえでそもそも「ピッチ経験がないこと」や「ピッチ準備と通常業務との両立」が不安でしたが、まずは書類選考の突破だと考え、応募しました。
ミチビク株式会社CTO。名古屋大学卒。北欧最古のスウェーデンのウプサラ大学へ留学。新卒でワークスアプリケーションズに入社し、エンジニアとして従事する。その後、スタートアップ企業のプロダクトマネージャー、テックリードを経て、2020年にフルスタックエンジニアとして独立。2021年4月にミチビクを創業。
4.ALGO ARTIS 武藤 悠輔
前年度の Startup CTO of the year 2022 に参加された方々を何名か知っており、興味を持っていた状況で募集を見かけ、応募しました。

ALGO ARTIS の課題としては、会社の認知度が低く、ソフトウェアエンジニアの採用でも苦戦している領域があったため、少しでもスタートアップのコミュニティに存在を知ってもらいたいという思いでした。
株式会社ALGO ARTIS VPoE。慶應義塾大学物理学科を首席で卒業後、スマホアプリ制作会社を起業しCTOとして従事。2019年にDeNAに入社し、認証・認可基盤を中心にさまざまなプロダクト開発を行った。2021年7月にDeNAからスピンオフしてALGO ARTISを設立する際に取締役に就任し、現在に至る。ALGO ARTISでは、「社会基盤の最適化」の実現を目指し、VPoE として組織づくりからプロダクト開発まで幅広く推進している。
5.フツパー 弓場 一輝
応募のきっかけは、弊社CEOの大西からのすすめでした。CTOにフォーカスしたピッチコンテストがあるから応募してみたら、と言われたのがきっかけです。

応募すること自体に悩みはしませんでしたが、普段あまり人前に出てプレゼンテーションをする機会がないことや、ピッチコンテストの準備に時間がしっかりと割けるかといった不安はありました。しかしながら、自社のミッションや、プロダクトの良さを私の口から伝えることのできる良い機会になると考え、応募を決意しました。
株式会社フツパー CTO。広島県呉市出身。広島大学大学院先端物質科学研究科修了。研究テーマはゲノム編集。バイオ技術を主体とした専門分野の研究を行う中で、機械学習及び深層学習周辺の技術を習得。学生時代に複数のAIモデル構築を経験し、新卒でフツパーを共同創業。CTOとして、組織マネジメントや新規プロダクト開発に関わる。NVIDIA「GTC 2020」登壇実績あり。

②出場した感想:改めてどんな場所(機会)だったか

1.アスエネ 石坂 達也
Startup CTO of the yearは、技術責任者として自己を見つめ直す貴重な機会でした。日々の業務や将来戦略に追われる中、過去を振り返り言語化することで、自分や組織の強みと課題に向き合えました。また、他の優秀なCTOたちとの交流は最も価値のある時間でした。技術的課題への独創的アプローチやチーム育成の方法論など、ファイナリスト同士でそれぞれの発表内容を深掘りし、議論することですぐに実践したいアイデアが得られました。

このイベントは単なるピッチコンテスト以上の価値があります。創業期のCTOやエンジニアにとって、自社の技術力を外部評価してもらえる貴重な機会となります。また、普段ピッチの機会が少ないエンジニアにとって、重要なスキルアップの場でもあります。CTOの役割の重要性を再認識し、自身の責任を深く考察できる場として、非常に意義深いイベントでした。
2.tacoms 井上 将斗
一言で言うと、自分自身がCTOとして取り組んできた意思決定や課題解決を見つめ直す良い機会だったと思います。創業期から激しく状況が変わる中で未来のことを考えることが多く、必要に駆られなければ過去の意思決定を丁寧に振り返ることはありませんでした。

ピッチ大会の準備を通して、過去の一つひとつの意思決定を振り返り、正しかった側面や誤っていた側面を深掘りすることで、「今の自分ならどう解決するか」について思考できたことは未来の課題解決のためにも非常に良かったと感じています。
3.ミチビク 金杉 優樹
こんな立派な会場でCTOがピッチする機会は滅多になく、ピッチづくりを通じて、「人に物事を伝える」ということを改めて考えさせられました。

またイベントを通して、ファイナリストのCTOや同時期に創業した同じ苦労を持つ仲間と知り合えたり、審査員やトレンドのトップを走る方々と交流したりできたので、非常にありがたい機会でした。
昨年の審査員 左から矢澤 麻里子氏(Yazawa Ventures CEO)、馬田 隆明氏(東京大学 FoundX ディレクター)、竹内 真氏 (ビジョナル 取締役 CTO)、藤本 真樹氏(グリーCTO/デジタル庁CTO)、塚田 朗弘氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ事業本部 技術統括部 本部長)
4.ALGO ARTIS 武藤 悠輔
出場して本当に良かったと思っています。採用においては、このピッチから ALGO ARTISのことを知って応募いただいた方も何名かおり、その中で実際に採用した方もおります。

事業においては、技術サイドの経営者としてピッチに真剣に向き合う中で、事業や組織、技術戦略についての考えを改めて整理する機会が得られました。また、個人としても、限られた時間の中で人に伝えられるワクワク感や期待の密度をどこまで高められるか、という点について、多くのことを試行錯誤しながら学べたように思います。Startup CTO of the yearは真剣に取り組めば取り組むほど、多くのものを得られる場だと感じました。
5.フツパー 弓場 一輝
一言で言うとめちゃくちゃ楽しかったです。もちろん、準備はとても大変でしたし、本番でも震えるぐらい緊張しましたが、その緊張感を味わえる機会は滅多にないので、良い経験になりました。

個人的には、ピッチコンテストに参加したことで、ほかのスタートアップのCTOやVPoEの方と知り合いになれたり、自身の事業を色々な観点から見直せる良い機会になったりしました。また、会社としてもこのピッチコンテストのおかげで認知を広げることができたと考えています。

③エントリーを悩む人へのメッセージ

1.アスエネ 石坂 達也
Startup CTO of the yearへのエントリーを迷っている方々は、まずはエントリーシートの記入から始めてみてください。そこで自分のこれまでの実績を言語化できたら、ぜひそのまま応募してみましょう!

CTOは経営に関わる重要な役割の一つであり、このイベントは「経営」と「技術」の橋渡しについて深く考える機会となるでしょう。この挑戦を通じて、技術力だけでなく、経営感覚やリーダーシップも磨くことができます。

結果にかかわらず、この経験自体が大きな財産となります。勇気を出して一歩踏み出してみてください。みなさんの挑戦を心から応援しています!
2.tacoms 井上 将斗
恐らく人生に数回しかないであろう非常に貴重な経験ができたと強く感じています。エントリーの直接的なきっかけとなった採用広報の効果はもちろん、CTOとしてのレベルアップにも繋がったと思います。今後、参加する方が増えて大会が盛り上がっていくと良いなと思います!
3.ミチビク 金杉 優樹
優勝したら、会社に箔が付きますし、エンジニアブランディングの費用対効果を考えても、絶対に優勝を取りにいきたいと考えていました。だからミチビク社では、全社を挙げてこのピッチコンテストに臨みました。「技術力がどのように経営インパクトを与えるのか」の証明のためにも、ぜひCTOのみなさんはチャレンジしてみることをおすすめします!
4.ALGO ARTIS 武藤 悠輔
Startup CTO of the yearへのエントリーは非常に勇気が必要でしたし、事前の準備も当日のピッチも本当に大変でした。しかしながら参加したことについて一切後悔はなく、むしろこれらの大変な過程を通して得られたものは多く、経験としてもかけがえのないものとなっています。事業に本気で取り組んでいる CTO やエンジニアの方々の熱い思いをぜひ発信してほしいです!
5.フツパー 弓場 一輝
またとないこの機会、勇気を持ってチャレンジしてみてください。Startup CTO of the yearは自分自身も成長させてくれますし、会社としての認知も広げてくれるまたとないチャンスだと思います。私は優勝することはできず、悔しい思いもしましたが、挑戦することで得られた経験は本当に大きなプラスになったと感じていますので、結果にかかわらず挑戦する価値は大いにあると思います。
今年の「Startup CTO of the year 2024 powered by Amazon Web Services」は、2024年11月19日(火)に開催。経営を動かすエンジニアのみなさんのエントリーをお待ちしています。

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