DJ-[更新]アマゾン、一般市民への宅配依頼を検討=関係者
2015/06/17, ダウ・ジョーンズ
速やかな宅配を絶え間なく追求する米アマゾン・ドット・コムは、米国のすべてを活用して配達を進めたいと考えている。
事情に詳しい関係者によると、アマゾンは目的地の方角に向かう一般市民に小包を運んでもらい、その運賃を支払う携帯端末向けのアプリを開発している。
さらにアマゾンは都市部の実店舗を持つ小売業者から倉庫を借りたり、小包1箱当たりの手数料を支払ったりすることによって保管スペースを確保する方策を検討している。
このプロジェクトは内部で「オン・マイ・ウエイ」と呼ばれているが、実施時期は不明で、実施に移されないこともあり得るという。
アマゾン広報は取材に対し、コメントを拒否した。
このサービスが実現できれば、アマゾンはオンラインショッピングに対する支配をさらに強めることができそうだ。アマゾンでは昨年、運送コストが31%増と売上高を上回るペースで増えた。新サービスの導入はこのコストの抑制につながり、大手運送会社との価格交渉の材料にもなり得る。
ただサービスの実現には、配達人の審査方法から実店舗の小売業者が競合するアマゾンに協力するのかまで、多くの障害がある。大手の運送業者は極めて効率的で、UPSは米国内なら小包1箱当たり平均約8ドル(約1000円)で配送する。
またSJコンサルティング・グループによると、アマゾンは1日平均350万件配送しているため、多数の配達人を確保できなければ有意義な効果を得ることができない。小包が破損したり行方不明になったりした場合、誰が責任を持つのかも不透明だ。
それでもアマゾンが計画を実行に移すとなれば、デリブやウーバー、インスタカートなど不特定多数の人に配送を依頼するクラウドソーシング型宅配サービスに割って入ることになる。グーグルやイーベイなどの大手も即日配送の実験をしているが、成果はまちまちだ。アマゾンと競合するウォルマートも2013年、実店舗に来店した顧客に商品の配達を依頼するクラウドソーシングを短期間だが検討したことがある。
だが、宅配大手や、最終的に商品を顧客まで届ける地域の宅配業者に真剣に闘いを挑むことができた企業は今のところいない。
アマゾンは昨年、サンフランシスコでタクシー会社のイエローキャブや配車サービスのウーバーの運転手を通じ、小包を配送する実験を短期間行った。関係者は、この実験でアマゾンが小包1箱当たり支払った金額は5ドルだったと指摘。こうした宅配方法の実現可能性や費用を測るための限定的な試みで、実験を拡大はしなかったと明らかにした。
関係者によると、アマゾンはウーバーやリフトに似たオンデマンドのタクシーサービス「ライド」を検討する中で、オン・マイ・ウエイを発案した。それ以降、アマゾンはライドのプロジェクトを棚上げしたという。
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