DJ-米ウーバー、運輸業界を塗り替えられるか(2)
2015/06/16, ダウ・ジョーンズ
冷めたブリトー
即日配送の世界では競争が激化している。食料雑貨店やショッピングモールの店舗から荷物を運ぶ「インスタカート」などの新興企業から、IT大手のアマゾン・ドット・コム、イーベイ、グーグルまでがひしめき合っているのだ。関係者によると、ウーバーにとって米国で最大のライバルとなる相乗りサービスの「リフト」でさえ、独自の即日配送サービスを始める機会を模索しているという。
このビジネスは物流業界の泥沼と言える。ある日の夕、相乗りサービスを手がけるサイドカー・テクノロジーズで運転手をするジム・ペカレックさん(33)は、サンフランシスコのミッション地区で30分以内にメキシコ料理のブリトーを7ドルで入手し、約6キロメートル離れた顧客に届けなければならなかった。
ペカレックさんはタケリア・パンチョ・ビラでブリトーを購入すると、縁石の上に止めていた車にすぐ戻り、猛スピードで配達した。ただ、受取人は見当たらず、電話をかけても出なかった。
地図を確認し、地区の周囲をグルグル回り、カスタマーサービス2人と話をしているうちに、ペカレックさんは「ストリート」と「アベニュー」を混同していたことに気付いた。顧客に冷めたブリトーを届けたのは約束の時間を30分過ぎてからだった。この顧客は我慢できなくなったようで、「忘れてくれ」などと書かれたメールを送っていた。
ペカレックさんは「これが商売になるのか不思議だ」といぶかる。
弱点は「保険」
ギルト・グループは昨年12月、ウーバーを通じて無料の即日配達サービスを提供することで、年末ぎりぎりまでショッピングをする顧客にアピールできると期待していた。ただ、ウーバーが保険でカバーできるのは1000ドルまでで、ギルトは高額商品の配送を地元のバイク便に頼まざるを得なかった。
ウーバーは昨年、高級宝石店アレクシス・ビッターとニューヨークでの配送業務で短期契約を結んだと発表したが、ここにも別の障害が待ち受けていた。アレクシスの広報担当者によると、「一度に多数の注文が入った時、同じ数の車を確保することができなかった」という。
ウーバーは首都ワシントンでの日用品や家庭用品の配送実験を半年で終了した。このサービスに最低購入価格はなく、運転手は1ドルのガムを届けるために街を横切る可能性すらあったのだ。
ウーバーの広報担当者は「こうしたことはめったに起こらない」とし、「ユーザーが価値を置いているもの」と「より良い実験ができる地区」が分かったと述べた。
ピーク時に稼働する運転手を増やすため運賃を引き上げるといった、ウーバーが好む運輸戦略の多くは物流の世界では成り立たない。出荷が固定価格で決められた時間内に行われているからだ。
ウーバーは利益を出すために必要な荷物取扱量についてコメントしなかった。サイドカーのスニール・ポールCEOは「4.99ドルの荷物の集荷に運転手を派遣し、30分で届けるというのは利益を追求する行動ではない」と述べた。
Copyright (c) 2024 Dow Jones & Company, Inc. All Rights Reserved.
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
![アプリをダウンロード](/resources/images/banner-app-download.png)
配信メディア
今日のニュース
- 39Picks