DJ-米ウーバー、配送業界を塗り替えられるか(1)
2015/06/16, ダウ・ジョーンズ
配車サービスを手掛ける米ウーバー・テクノロジーズは300以上の都市で数百万人の乗客を運ぶという新たな方法で、世界で最も高い企業価値を誇る新興企業の一つとなった。だが、この事業モデルで配送業界を塗り替えようとする企業努力はスムーズには進んでいない。
ウーバーは1年以上にわたり、かつてトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が「都市のロジスティクス構造」と呼んだ仕組み作りを試みてきた。スマートフォン(スマホ)をタップするだけで、人を運ぶ車の運転手がその途中で食品や日用雑貨、荷物などを集荷・配達する仕組みのことだ。同社では20万人以上の運転手が稼働しており、潜在性はある。これは米宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の配達員数のほぼ2倍だ。
ただ、今のところ1年前に立ち上がったウーバーの即日配送サービスはうまく行っていない。同社は数十社の小売業者との契約を目指していたが、発表された提携パートナーは6社にとどまる。そのうちの1社である電子商取引会社ギルト・グループは、同サービスが期待外れだったと話す。ギルトの広報担当者によると、ウーバーでは高額品に保険をかけられないことが失望の一因だったという。
事情に詳しい関係者によると、ウーバーは最近、一部の都市で米アップルと米スターバックスの配送業務を請け負う機会を逃した。両社はウーバーとの業務提携を目指して交渉してきたが、結局は新興の即時配達サービス会社ポストメイツと契約を結んだという。企業口コミサイトの米イエルプが保有するフードデリバリー注文アプリ「イート24」と、同業の「グラブハブ」もウーバーと提携交渉をしたが合意には至らなかった。
ウーバーは昨年秋、有名レストランの昼食や夕食をユーザーに手早く届けるサービス「ウーバー・イーツ」を開始した。このサービスを利用できるのは米国のニューヨークやシカゴ、ロサンゼルス、カナダのトロント、スペインのバルセロナなどの一部ユーザーだ。ただ、時には利用客があまりにも少なく、一日の終わりには運転手が残った料理を捨てざるを得なくなることがあった。
ウーバーはフードデリバリーサービスを継続しており、現在はこの事業への新たなアプローチを試す初期段階にすぎないと話した。社内で「ウーバーエブリシング」と呼ばれる配送プロジェクトを手掛けるジェイソン・ドロージ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「顧客と営業都市の両方に恩恵が及ぶ新製品の実験や試験を続けるだろう」と電子メールで述べた。
オンデマンド型の配送サービスが芽生えたばかりの世界で、ウーバーの競合も、スマホ時代には多くの商品を配車と同じくらいのスピードで手に入れたがる新たな顧客層が爆発的に増えると見込んでいる。
ウーバーは非上場ながらも、投資家はその潜在性に熱い視線を送っている。最近の資金調達が終了した時点で、同社の企業価値は410億ドルだった。関係者によると、同社は新たな資金調達に向けて交渉を進めており、企業価値がフェデックスの時価総額にほぼ並ぶ500億ドル以上になる可能性もある。
ウーバーに最初に出資した投資家の一人、ジェイソン・カラカニスさんは「ウーバーより大きなリアルタイムの物流ネットワーク持つ業者はいない」と指摘した。
(続く)
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