[フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)がまとめた報告書で、通貨安が輸出の大幅な押し上げにつながっていないことが明らかになった。

報告書は欧州連合(EU)10カ国の2001年から2012年までのデータを基にECBのエコノミスト2名が執筆した。

2014年12月から2015年3月中旬にかけ、ユーロは対ドル<EUR=>で20%下落した。このユーロ安が年初来以降、域内経済の持ち直しに重要な役割を果たしたとの見方が一般的だった。

しかし今回の報告書は、ユーロ安にもかかわらず、域内輸出は1─3月期に伸び悩み、輸入は反対に加速するなど、通貨安と輸出増の相関関係が深いとは言えないと指摘。その理由として、輸出能力の増強には時間がかかる上にコストもかさみ、各企業とも通貨安に伴う恩恵を受けにくいためと説明した。

一方、通貨が値上がりした場合、企業は値下げよりも輸出量を減らす傾向があるとした。