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米供与の兵器でロシア領内攻撃、バイデン氏が容認 ハリコフ国境限定
Reuters
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
現在、イタリアとベルギーを除くほとんどのNATO諸国は、自国が供与した武器によってロシア領内に攻撃を加えることを認めています。 こうした中で米国は(現状で)一番最後に攻撃容認に傾いたのですが、「あくまでもハルキウ防衛限定・尚且つ長射程のATACMS使用はダメで射程80kmのHIMARSまで」という厳しい条件をつけました。 他にも条件をつけている国としてはドイツとスウェーデンが「国際法の枠内で」というよくわからないことを言っていますが、要するにこれは「民間人とかに無差別に使うんじゃないぞ」という意味であって、事実上はターゲティングに口を出すものではありません(ただしドイツはそもそも長射程攻撃兵器を出すのを渋り続けているので、それ以前の問題という話ではあります)。 こうしてみると米国の「容認」は他の国と比べても格段に狭く・厳しい。ロシアとのエスカレーションをそれだけ恐れているということなのでしょうが、では米国自身はこの戦争の出口戦略をちゃんと考えてこういう制約を課しているのかどうかは気になるところです。 それなしに軍事援助を出したり渋ったり、やたらに厳しい制限をつけたりでは、戦争はただ長引くだけになってしまうでしょう。米国としてロシアの核エスカレーションを断固阻止するという姿勢を見せつつ、決定的な援助を行わないと、中途半端になってしまうと懸念します。
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ウクライナ軍総司令官、苦戦認める 「ロシア軍が複数方面で戦術的成功」
産経ニュース
小泉 悠東京大学 先端科学技術研究センター 准教授
3月時点でシルシキー総司令官は「前線の状況は安定している」と述べていました。これはアウディーウカ陥落後もしばらく続いたロシア軍の西進をある程度食い止められたということだったと思われます。 しかし、4が月に入ると、シルシキーは前線の状況が悪化していると評価を下方修正し、今回についてはさらに悪い(しかも複数正面で)と認めるに至りました。いずれも客観的な観測事実と整合しています。 問題はこの状況を覆せるのかどうかですが、それにはまずロシア軍に対する火力の劣位をどうにかせねばならないでしょう。4月にアメリカが軍事援助の再開を決めましたが、これがいつ・どのくらいの量入ってくるのかが当面の焦点になりそうです。 4月にはもう一つ、ウクライナでの動員法改正という大きなエポックがありました。動員期間をどのくらいにするのかなどで大きく揉めた法改正でしたが(結局、期間については明記せず別に動員解除法を作るということで決着)、これで一応は兵力のローテーションに関して目処がついてきたと思います。ただ、5月から施行しても新たに兵士を動員・訓練して戦場投入できるようになるまでには時間がかかります。ウクライナは徴兵制の国なので多くの人には基礎的な軍事経験があるとしても、です。 このように考えていくに、ウクライナが攻勢に出られる見通しは当面低く、まずはいかに守るか、その過程でロシアの戦争遂行能力にどれだけのダメージを与えられるのかが重要であろうと見ています。
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