思っていても口に出せない言葉がある。
口に出せない言葉が人生の半分を動かしている、と言い直しても良い。
あるいは、世界の半分は口に出せない言葉でできているということなのかもしれない。
たとえば、テレビの生放送のスタジオは
「オリンピックって本当にやるんですかね?」
という誰もが思っているこの言葉を、事実上の禁句に指定することでなんとかQシート通りに番組を進行させている。
理由は、この質問が放送局の痛いところを突いているからでもあれば、答えを持っている人間がスタジオの中に一人もいないからでもある。
本当は誰もが
「こんな状況でオリンピックなんかできるのだろうか」
と思っている。
私もそう思っている。
つい2日ほど前にも、高校時代からの友人と電話をしている時に、そんな話になった。
「お国は本気でオリンピックをやるつもりなんだろうか」
と私が水を向けると、そいつは
「オレのいやな予感の話をするか?」
と言った。
「なんだそれ?」
という反問に答える形で彼が持ち出してきた話は、なるほど、なかなか興味深い見立てだった。
電話を切った後、私は、ひとりでニヤニヤしているのももったいないと思って、その彼のいやな予感の話をツイッターに書き込んだ。
以下がそれだ。
《古い知り合いが面白い見立てを語ってくれた。
1.いくつかの国や競技団体が五輪への不参加を言い出す
2.小池百合子都知事が突然五輪の中止を宣言
3.ついでにIOCとの契約の詳細(どうせ守銭奴契約)を暴露
4.右も左も小池百合子バンザイ状態
5.責任を取って都知事を辞任とか言い出す
(続く)午後7:59 - 2021年4月13日》
《6.でもって衆院選に打って出る
7.もちろん小池新党を結成。しかも維新あたりと握手
8.当然、菅さんの選挙区から出馬する
9.どうせ大勝利
10.日本初の女性宰相へ……とか
11.ありそうだよね。とにかく度胸だけは日本一なわけだから
12.いやだなあ
ほんとにいやだなあ。ありそうで。午後8:02 - 2021年4月13日》
《五輪中止をいきなり持ち出す権限と度胸と政治的センスと悪辣さと野心を全部持ってる人間は、小池百合子以外に考えられない。うまいタイミングで五輪中止をブチ上げて、同時にIOCの腐敗を告発しつつ被害者面をキメて見せれば、右も左も保守もリベラルも両手を挙げて支持するよね。
いやだなあ。
午後8:07 - 2021年4月13日》
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