ウの目超える「空を飛ぶ犬」か プライバシー揺るがす監視の目か ドローンの変革
毎日新聞
2020/9/28 14:00(最終更新 10/7 18:06)
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「放流したばかりのアユが食べられて困っている」。1990年代後半から全国の河川漁業者からこんな話が出始めた。原因はカワウ。地名や人名にも鵜(う)のつくものがあるように古くから日本各地に生息する。公害などで70年代には全国で3000羽まで減ったが、河川環境の改善や保護が進み急速に回復した。
ピザ運ぶドローンのニュースを見て思い付いた活用は…
カワウは1日500グラムもの魚を食べる。特に春以降の繁殖期はヒナを育てるために食欲が増す。その時期はアユの放流時期に重なる。放流直後のアユは「輸送疲れ」などもあって活動範囲が狭く、集団で群れるため上空からは真っ黒な団子のように見える。「うの目たかの目」という言葉があるように、カワウは目が良く、川の中のアユを食べ尽くす。水産庁によると全国のカワウの生息数は2015年には8万羽、被害は76億円まで膨らんだ。
「これからはドローンでカワウ対策の時代や!」。水産技術研究所沿岸生態システム部内水面グループ(栃木県日光市)の坪井潤一さんに兵庫県の揖保川漁協の南山金光組合長(当時)から電話がかかってきたのは5年前。南山さんは、テレビでピザを運ぶドローンのニュースを見て活用を思い付く。2人はその数日後、東京で会いドローンを使ったカワウ駆除作戦を本格的に練り始める。
スピーカーから犬のほえ声
編み出された方策は二つ。一つ目は、洗濯ネットに入れたスピーカーをドローンにぶらさげ、カワウが嫌う犬のほえ声などで追い払う。ドローンはカワウより速く飛べるため「空を飛ぶ犬」に追いかけられる形になる。「カワウはかなり怖がる」という。
二つ目は、カワウがねぐ…
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