国際公約達成のためにも温暖化対策が急務だ。温暖化ガス大幅削減へ蓄電池整備など再エネ拡大の仕組み作りが欠かせない。

西川周作[にしかわ・しゅうさく]
大和証券 シニアアナリスト
1986年生まれ。2008年、大和総研入社。グローバル金属資源企業の動向を調査。13年から電力・ガスセクター担当。エネルギー分野の第一線アナリストとして活躍。

 日本にとって2020年は地球温暖化対策の節目になるだろう。温暖化対策に重要な関わりを持つエネルギー基本計画の改定作業が予定されており、それに際し、30年度の電源構成目標であるエネルギーミックスの改定も動き出すと見込まれるからだ。

 日本は気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定(15年合意)に沿って、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を50年度に80%削減する長期目標を掲げた。これに伴い30年度に13年度比で温室効果ガスを26%減らすとしている。いわば“中期目標”だ。今後重要なのは、目標達成のメドを早期につけ、さらにその約3倍になる長期目標にどう近づけるかだ。

FIT制度が再エネ発電後押し

 温室効果ガスの排出量を減らすカギは、二酸化炭素を出さない水力や太陽光、風力などの再生可能エネルギー(再エネ)と原子力発電が、全電源に占める比率を高めることだ。国の現在のエネルギーミックス目標は第4次エネルギー基本計画を策定した翌年の15年に設定された。11年の東京電力福島第1原発の事故を受け、それまで30年度に約50%としていた原発比率を大幅に下げ、再エネ比率を逆に押し上げた。具体的には、再エネを同年度に22~24%、原子力を20~22%、石炭26%、LNG(液化天然ガス)27%、石油など3%とした(下グラフ参照)。

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