みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

 蒲田の商店街を歩いていたら、居酒屋の軒先に露天商よろしくたくさんの酒が並べられている。よく見ると入手困難な銘酒がゴロゴロ並んでいるではありませんか。

居酒屋の店先に並べられた銘酒の数々。中には入手困難なあのブランドも……。
居酒屋の店先に並べられた銘酒の数々。中には入手困難なあのブランドも……。

 よく見ると愛する「百年の孤独」も3980円で売られている。定価の3割引き以下の価格です。たとえ居酒屋でも、こんな価格では仕入れられないでしょう。在庫はありますかと尋ねると、店内にもう1本あるという。もちろん即買いしました。

 他にも「新政」やら「而今」やら「十四代」やら、すごい日本酒が文字通りゴロゴロ並んでいて、一瞬ヨロっときたのですが、なにしろ道端に置かれた商品です。保存状態が気になり、怖くて手が出せませんでした。お店の生き残りを懸けて一気に在庫処分を進めたのでしょう。

 新型コロナウイルスの影響はレースの世界にも及んでおりまして、F1も初戦のオーストラリアGP、第8戦のモナコGPはキャンセルになってしまい、その他の試合も続々延期が決定。自粛が続いています。

 昨年散々追いかけたホンダF1も、今シーズンはすべての活動が止まっていて、パワーユニットの開発拠点であるHRD Sakuraも、イギリスのHRD Milton Keynesも出社ができない状態になっています。7月のオーストリアから開幕する(といわれている)グランプリにはどのように臨むのでしょう。また開発陣、テスト陣、そしてドライバーのモチベーションをどのように維持していくのでしょう。下馬評では「今年のホンダは速い」といわれていましたが、実際のところはどうなのでしょう。F1マネージングディレクターの山本さんにお話を伺いました。

 残念ながらこのインタビューは当欄の記事にはなりませんで、「ベストカー」連載の「フェルディナント・ヤマグチのザ・インタビュー」に掲載する予定です。

ホンダF1マネージングディレクターの山本雅史氏をスカイプでインタビュー@ベストカー編集部。やっぱり山本さんはいいなぁ。「ファンあってのF1」という言葉が印象的でした。
ホンダF1マネージングディレクターの山本雅史氏をスカイプでインタビュー@ベストカー編集部。やっぱり山本さんはいいなぁ。「ファンあってのF1」という言葉が印象的でした。

 しかしオーストラリアGPにおけるスタート直前のレースキャンセル裏話は実に面白かった。午後から始まるフリープラクティスに向けて、レース車両は準備万端整っている。レーサー諸公も精神を集中し深呼吸をしている。開場を待つファンはチケットを握りしめてゲートの前で今か今かと待っている。前座レースの車両は既にエンジンをブンブン吹かしている。そんな中での中止決定です。そこにはどんなドラマがあったのか。次号のベストカーをお楽しみに。

 ということで本編へまいりましょう。
 今回は昨年のモーターショーで出合ったプロテクションフィルムの施工リポートです。

 昨年のモーターショーを見学に行った際、ひときわ異彩を放っていた一角があった。

 東京ビッグサイト南展示棟4階。そこには日本スーパーカー協会のブースがあり、ピカピカに磨き上げられた名だたるスーパーカーが並んでいた。スーパーカーはおろか、4社を除いて輸入車勢にほぼスルーされてしまった東京モーターショーだったが、実は端っこの方には実に興味深いエリアがあったのだ。

 さすがはスーパーカー。輝きが違うと感心しながら見入っていたのだが、それにしても輝き方が桁違いだ。なんと言うか、本当にピカピカ光って曇りの部分が一切ないのである。そうか、このテのクルマは高額なコーティング処理を施しているからこんなに光るのかと得心していたのだが、実はそうではなかった。ここに並んでいるクルマには、例外なくプロテクションフィルムが貼られていたのだった。

 ペイント・プロテクション・フィルム。略してPPF。

 ボディに透明のフィルムを貼り付けて表面を強固に保護しつつ、ピカピカの状態を保つことができる夢の製品である。スマホの画面に貼り付ける表面保護シートの自動車版と言ったら分かりやすいだろうか。スーパーカーの世界では、これを施工するのがもはや「常識」の範囲であり、車両価格が高額になるほど、その施工比率も上がるのだという。

昨年の東京モーターショー。XPEL JAPANのブースにて。
昨年の東京モーターショー。XPEL JAPANのブースにて。

 日本スーパーカー協会の隣には、業界最大手のXPEL JAPANのブースがあった。早速ブースに飛び込みお話を伺った。ピカピカに仕上がることは実車を見れば分かる。素晴らしい。すぐにやらねばならない。しかしモノがいい分それなりにお値段も張る。下地磨きから貼り付け施工をフルに行うと、100万円近くもする。100万円。決して安い値段ではない。ていうか高い。ボディケアにそれだけの金額を出すのなら、他にやることがあるだろう、と思う。そのままズルズルと半年が過ぎてしまった。

 そんなある日、スーパーカー関係の方々と連続してお話をする機会があった。
 ランボとかアストンとかフェラーリとかの高額車に、ごく「当たり前」に乗っている方々だ。
 彼らはまた、ごく「当たり前」にPPFを施工しているのであった。逆に、え?フェルさん貼っていないんですか、と呆れられる始末だった。

 クルマの塗装は置いておくだけでも紫外線でジワジワと劣化する。飛ばして走れば飛び石でフロント部分に細かいキズが付く。鳥のフンは言うに及ばず、実は黄砂や花粉も塗装を傷める要素である。

 そうか。やっぱり貼るのが常識なのか。以前いただいた名刺を引っ張り出して、XPEL JAPAN代表取締役の飛鳥田秀樹さんに連絡を取った。「やあフェルさんですか、モーターショー以来ですね。分かりました。すぐにやりましょう」と言ってくださった。ありがたや。

 アポを取りクルマを預けて世間話をして意気揚々と引き上げた。仕上がりが楽しみである。

「このままでは施工できません」「えっ……」

 するとその日の夜、飛鳥田さんから電話が入った。「フェルさん。残念ですが、このままでは施工ができません」と言う。どういうことなのか。

 「フロント部分を軽く擦っていますよね。その部分の塗装が剥げて段差ができているんです。そこにフィルムを貼ると、段差がそのまま転写されてしまうんです」と。

 そうだ、今年の初めにスーパーの駐車場で当て逃げされたのだ。あまり気にならない小さなキズだから放っておいたのだ。ここで板金塗装に出すと、フロント部分を大きく塗り直すことになるから結構なコストである。うーん、何かとカネがかかるなぁ。やっぱり貼るのをやめようか……。

 電話口で絶句していると、飛鳥田さんが「そういえば知り合いの板金屋さんで、新しい補修方法を編み出した人がいます。相談してみましょう。安く上がるかもしれません」と、これまたありがたいご提案をいただいた。

 ご紹介いただいたのはMOON AUTOの代表取締役、清野正幸さんだ。

 ご高名を聞いたことがある読者も多いだろう。
 所ジョージさんをはじめ、名うてのカーマニアのクルマを変態的に仕上げるプロ中のプロである。塗装が剥げて凹んでしまった部分に紫外線硬化型の樹脂を少し盛り上がるようにして塗り、硬化させた後にカッターで削り平面に仕上げるというものだ。

樹脂を携帯式の紫外線照射装置で硬化させる。
樹脂を携帯式の紫外線照射装置で硬化させる。

 「すぐにできるから目の前でやってもらいましょう」。「使用前使用後」を確認するため、右半分だけPPFが施工されたフェル号を見に行った際、清野さんの作業を実際に見せていただいた。すべての作業は30分程度でサクッと終わってしまった。補修の世界も技術革新が進んでいるのである。

カッターで削るうちに本当に平たんになってしまった。これはすごい。
カッターで削るうちに本当に平たんになってしまった。これはすごい。

 見学ついでにPPFの現状を伺ってきた。以下、当日のインタビューである。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):今回は本当にお世話になりました。しかし先日、「このままじゃ施工できません」とお電話をいただいたときはショックでした。これくらいの小キズなら、フィルムを貼ってしまえば隠れるのかと思っていたので……。

XPEL JAPAN代表取締役 飛鳥田秀樹氏(以下、飛):PPFは透明のフィルムで、キズがあったらそのまま透けて見えてしまうんです。洗車キズのような細かいものだったら、ある程度はカバーできる可能性もあるのですが、あれだけ段差が付いたキズだとちょっと厳しいです。

F:スーパーの駐車場で当て逃げされたんです。あんな高い場所だから、恐らくバックしてきたSUVにやられたのだと思います。しかし清野さんの補修技術はすごいですね、一瞬……とはいかないけれど、ほんの30分程度で、ものの見事に段差が消えてしまいました。清野さんのMOON AUTOでは、所ジョージさんのクルマのペイントも、すべて扱っていると伺いました。あ、記事で所さんの名前を出しちゃマズイですか?

MOON AUTO代表取締役 清野正幸氏:聞いておきます。本人、あまり気にされない方なので(笑)。(所さんご本人に確認していただき、名前出しOKとなりました)

F:しかし驚きました。こんなにピカピカにきれいになるとは夢にも思いませんでした。本当に感激しました。すごいですよこれホント。マジですごい!

まずはボディ右側だけ施工していただいた。この輝きをご覧あれ!
まずはボディ右側だけ施工していただいた。この輝きをご覧あれ!

高橋マンちゃん:フェルさん。はしゃぎ過ぎ(笑)。

F:よくワックスの宣伝なんかで、「新車の輝きがよみがえる」なんて言うけれど、これは本当にそうなりますね。素材は何でできているんですか。厚みはどれくらいあるのでしょう?

:ポリウレタン製のフィルムで、厚さは150ミクロン。0.15ミリです。アメリカの製品で、当社が輸入代理店になっています。もともとは軍事用に開発されたもので、ヘリコプターのローターや、キャノピー保護膜として開発されたものなんです。

F:なるほど。ミルスペック。ラッピングとはまた違うものなのですか。

:ラッピングとはそもそもの用途が違いますね。あれはあくまでも表面の色を変えたり、何らかの印刷をして宣伝に使ったりと、デザイン的な要素が強いものです。厚さは50ミクロン前後で、塩ビ製です。

XPEL JAPANマーケティングディレクター 芝本 淳氏(以下、芝): PPFは厚みのあるポリウレタンで、弾力性に富んだ素材でできています。柔らかいから衝撃を吸収して塗装面まで行かせない。弾力があるからこそ、当たったときの石が塗装面をキズ付けない。ラッピングだと、飛び石があったらフィルムも一緒に切れてしまったりめくれ上がったりすることもあります。

こちらがPPTの施工風景。ランボルギーニ ウルスとメルセデスGクラスが並んでいた。なぜかSUVのときはSUV、スーパーカーのときはスーパーカーの作業が重なるのだそうだ。
こちらがPPTの施工風景。ランボルギーニ ウルスとメルセデスGクラスが並んでいた。なぜかSUVのときはSUV、スーパーカーのときはスーパーカーの作業が重なるのだそうだ。

F:なるほど。下地処理をしてボディ全体を施工すると、100万近くもかかると伺いました。するとやはり、高額のクルマを持つ人が主たる顧客層になるのでしょうね。

:そうですね。スーパーカーをお持ちの方は、ほとんど全員施工すると言っていいと思います。あとはレクサス。国産だとレクサスの人が多いです。神奈川トヨタ様系列のレクサスディーラーでは、ディーラーオプションとして設定されていて、新車時にこのPPFを施工されています。あ、もちろんいくつかのインポーターとも契約しています。そうそう、あとはGT-RのNISMOも施工比率が高いです。飛ばすから飛び石が気になるのでしょう。フロント部分だけに施工される方が多いです(笑)。

F:やはり高額車ばかりですね。

フロントグリルのヒダを全部カバーしたい

:いやでも普通のクルマでも多いですよ。スーパーカーはもともと売られている台数が少ないから比率が上がりますが、ミニとか多いです。あとはあれ、アルファード。

:確かにアルファードは多いです。フロントグリル部分の鱗みたいなヒダヒダに全部施工してくれとリクエストされる方も多いです。

F:うわぁ。フロント部分だけの施工も可能なのですか?

:もちろん可能です。フロントフルカバーで30万円、バンパー部分だけなら13万円くらいです。

F:新車で貼る人が多いのですか?

:ほぼ9割が新車時に施工されますね。フェルさんのように、何年かたってからという人は1割です。

F:そうですか。いや失礼ながら、そもそもこのPPFというものの存在をモーターショーまで知らなかったもので。しかしここまでキレイになるのなら、年数のたったクルマでも絶対にやるべきですね。これだけピカピカになるんだもの。これはもう絶対にお勧めです。

PPTは原反からこの大きな装置で車種別にカットされる。
PPTは原反からこの大きな装置で車種別にカットされる。

:はい。ですがあまり古いクルマだとお勧めできないんです。というのも、このPPFには寿命があり、先々剥がすことが前提の商品です。うんと古いクルマはオリジナルの塗装が弱い可能性がある。貼るのはいいのですが、剥がすときに下の塗装まで一緒にペロッとめくれてしまう可能性もあるんです。その辺はお客様との相談になりますね。

F:なるほど。先々剥がすことが前提と。寿命はどれくらいあるのですか?

:アメリカ本国では10年ですが、日本は5年を保証期間にしています。かなり余裕を見た数字ですが。

F:アメリカ10年で日本が5年。どうして日本のほうが短いのですか?

:酸性雨の問題です。あとは黄砂と花粉ですね。あれがフィルムに悪影響を与えるんです。だからPPFを貼ったクルマはどんどん水洗いしてほしいんです。洗車機で構いませんから、フェルさんもどんどんやってください。

車種別に膨大なデータが保管されている。超音波センサーの有無、ヘッドライト部のウォッシャーノズルの有無など、同一車種でもさまざまな形状があるのだ。
車種別に膨大なデータが保管されている。超音波センサーの有無、ヘッドライト部のウォッシャーノズルの有無など、同一車種でもさまざまな形状があるのだ。

F:洗車機。まさか。100万円のフィルムを貼ったクルマを洗車機なんかに入れられませんよ、もったいない。フィルムに洗車キズが付くじゃないですか。

:このフィルムはセルフヒーリング(自己修復)機能が備わっています。フィルムの表面に浅いキズが付いても、フィルムの温度が上昇する際に自己修復してサッと消えてしまうんです。

F:ははははは。まさかそんな。夜店の手品じゃあるまいし(笑)。

:む。笑いましたね(割とマジでムッとされた顔で)。それじゃ実験して証拠をお見せしましょう。これがプロテクションフィルムです。キズを目立ちやすくするために、黒い板に貼り付けてあります。この表面をワイヤブラシでサッと擦ってみますよ。

F:わ、わ。マジすか……。

ワイヤブラシで表面をキズ付ける。ムチャするなぁ……。
ワイヤブラシで表面をキズ付ける。ムチャするなぁ……。
あーら不思議。ドライヤーで熱をかけると、スーッとキズが消えていく。30秒もすれば、すっかり元通りだ。
あーら不思議。ドライヤーで熱をかけると、スーッとキズが消えていく。30秒もすれば、すっかり元通りだ。

:これこの通り。キレイに消えてしまうでしょう。フェルさんのクルマにも、まったく同じフィルムが施工してあります。試してみますか?

F:か、勘弁してください……。

:冗談はさておき。飛び石には効果てきめんです。アメリカには「ノーズブラ」ってあるでしょう。フロント部分に付ける黒いカバー。

F:ありますあります。昔は西海岸で、ファッションアイテムとして流行っていました。

:あれも本来の目的は飛び石保護や、虫が当たるのを防ぐものですよね。だからアメリカでは、PPFをクリア・ノーズ・ブラと呼んだりもします。フロントが飛び石キズだらけだと、下取り価格にも影響しますからね。

F:や、そうか。下取り価格。

:特にスーパーカーは、距離とキズが下取り価格に大きく響きますから。

ナマのボディなんか怖くて乗れない

F:分かります。キズナシはもちろんのこと、フェラーリなんか年間1000キロ以上乗っちゃダメとか言いますよね。

:それはかなり極端な話ですが、法人で所有されている場合、会計上の償却の問題で、2、3年でどんどん買い替える方も多いので。そうした方は「もうナマのボディなんか怖くて乗れない」とまでおっしゃいます。PPFを施工することが、そこまで当たり前になっているんです。

F:うーむ。リセールバリューを考えると、結局はそっちのほうがお得だと。

:一概には言えませんが、そう考えるお客様が多いです。あとは所有期間中のストレス軽減です。ピリピリしながら乗るのなんてイヤじゃないですか。

F:確かに、確かに。キズが付かないかとピリピリしながら乗るのなんてイヤです。それにしても、先程の実験には驚きました。あれなら本当に洗車機に入れても大丈夫ですね。

:それでなくても、最近の洗車機は本当によくできていますよ。別にPPFを貼っていなくても、普通に使って大丈夫です。ディーラーさんに入っている装置なんかすごいですよ。私、あるディーラーさんで生身のまま洗車機に入れてもらったことがあるんですよ(注:本当にこうおっしゃっていましたが、絶対マネしないでください!)。スポンジなのでぜんぜん痛くない。一度取材に行かれるといいですよ。PPFはブラシよりもむしろ高圧洗浄機のほうが怖いです。フィルムとボディの間に水が入り込むと、剥がれの原因になってしまいますから。

F:や、なるほど。

:先程厚さが150ミクロンと言いましたが、実は厚さが120、150、200ミクロンと3種類ありまして、フロント部分には200ミクロン。内装には120ミクロンと場所により使い分けています。

F:内装にも貼るんですか?

:最近ピアノブラックの内装とか増えているでしょう。あれは傷付きやすいんです。爪とかで。アメリカでは既にやっているのですが、ウチではまだ実績がありません。データはそろっているので、カットして貼るだけなのですが、貼るときに液体を使うでしょう。革のシートを濡らしてしまうと大変なので。アメリカはそういうところが割と大ざっぱなので(笑)。

F:いや、今回は本当に勉強になりました。ありがとうございました。
 仕上がりが楽しみです。

:こちらこそ遠いところまでお越しいただきありがとうございました。
楽しみにしていてください。ピカピカに仕上げてお戻ししますので。

 PPF、本当にキレイになります。しかも洗車機にブチ込める。こんないい話はありません。
 クルマが仕上がったら、またリポートしましょう。
 来週は昨今の中古車市場についてリポートします。

洗車マニアの生態あれこれ

 こんにちは、AD高橋です。

 愛車の997型タルガの全身にプロテクションフィルムを施したフェルさん。
 ラッピングを施したクルマは何度も見ていますが、フィルムを施したクルマは初めてで(見ているのでしょうが意識していない)、その美しさに驚愕しました。

 本編にもあるようにまだ作業途中で、プロテクションフィルムは右半分のみ貼られた状態。それだけに余計に施工前後の違いを知ることができました。私の腕では写真でそれを表現することができず……。果たしてみなさんに伝わったかどうか……。

 プロテクションフィルム施工の最も大きな目的はボディをキズや紫外線などから保護すること。そしてボディを美しく見せる効果も期待できます。

 ところで、ボディをキレイにする基本といえば、こまめな洗車。世の中には洗車マニアというか、洗車に命を懸けている人もいます。

 私が過去に取材した、彼氏がR32、彼女がR34に乗っているというGT-Rカップル(デートも2台で出かけるそうです)は、2人で洗車場に行き4時間くらい洗車をしていると話していました。

 編集部時代の同僚には最低でも週1、できれば週2でワックスをかけないと気が済まないという人がいました。その人は最終的に“洗車を楽しむため”に、洗車用の中古車を1台購入したほど。別の同僚は洗車時にタイヤを外し、タイヤハウスやホイールの中まで洗う徹底ぶり。雨の日はクルマに乗らないのはもちろんのこと、走っていたら前方に打ち水をしている人がいて「ここに水をまいたらタイヤハウスに水が入るだろう!」とクレームを入れたという逸話があるほどでした(みなさんは決してマネしないように!!)。

 これらは極端な例ですが、普段は洗車機を使っている人もたまには自分で洗車することをお勧めします。自分で愛車を洗うと、小さな凹みや小キズなどに気付くことがよくあります。ボディのエクボなどに気付くと「チッ……」となりますが、タイヤのキズはバーストなどにつながる可能性もありますし、ウィンドウの飛び石キズはやがて成長してガラス交換が必要になることも。その前に気付くことで事前に対策を施せる可能性もあります。

 洗車といえばこれからの時期、雨が気になりますね。昔から「洗車をすると雨が降る」という話はよく聞きますが、私もそれを感じている一人。でも当たり前ですがこれは迷信。一方で、実は雨が降る前に洗車をしておいた方がいいともいわれていますね。

 最後に小ネタを。長くクルマに乗っていると、本革ステアリングや本革シフトノブが徐々にテカテカしてきます。原因のひとつが手の汗や脂。カー用品店ではさまざまなケア用品が販売されていますが、実は身近にあるものでもケアできます。それがベビーローション。

 仲のいいスタイリストからバッグや革ジャンなどの革製品のケアにはベビーローションがいいと教えてもらい、それなら革ステアリングにも使えるのでは?と思い試してみたらかなりいい感じに。

 「ステアリング/ローション」などで検索すると、さまざまなページがヒットします。ただ、これはメーカー等で推奨されている方法ではないので、あくまで自己責任で。また、最初はステアリングの裏側など目立たないところで、シミ等ができないか試してくださいね。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「PPT」としていましたが、正しくは「PPF」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2020/06/01 09:00]
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