国際宇宙ステーションで星出彰彦さんと野口聡一さんが対面——。4月下旬、ふたりの日本人宇宙飛行士が喜びを分かち合うニュースが舞い込んできた。
実はふたりとも到着日程は違えど、乗ってきた宇宙船は同じであることをご存知だろうか。アメリカの宇宙開発ベンチャー企業・スペースXが開発した「クルードラゴン」。すでに3度の有人飛行を成功させている民間宇宙船である。
ペガサス・テック・ベンチャーズのCEOであるアニス・ウッザマンさんは、このスペースXの可能性にいち早く気づき、かねてより投資を重ねてきた投資家のひとりだ。
そんな彼が以前から熱視線を送ってきたのが日本のベンチャー市場。当初こそ不安を感じていたというが、いまでは国内30社以上に投資を行うほど力を入れている。
世界でベンチャー企業の勢いがとまらない。では、日本の起業家も負けじとこの波に乗れるのか、世界や日本国内の市場はどうなっていくのか、どこをポイントに投資をすればいいのか。ベンチャー投資のプロフェッショナルであるアニスさんが語り尽くす。
日本のミニザッカーバーグたち
「日本の起業家の多くは世界規模の会社を作りたがっていないように見えます」
アニスさんの評価はなかなか手厳しい。しかし、単にこき下ろしたいがために言ってるわけではない。期待しているからこそ、歯がゆい現状を変えてほしいと切に願っているのだ。
「それこそ韓国や台湾、東南アジアの起業家たちは、最初からグローバルで勝負をしようとします。でも日本の起業家はそうはならない。市場の絶妙な大きさが主な原因でしょう。日本の市場はアメリカほど大きくないけれど、それほど小さくもない。
順調に国内で上場を果たせば、規模も利益もそれなりに成長させることができてしまい、そこで満足してしまう起業家があまりにも多い。“ミニ”ザッカーバーグで終わってしまうんです」