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29歳、フェラーリを買う──Vol.101 女優・夏樹陽子さんとの再会(後編)

『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、Vol.100に続き女優・夏樹陽子さんに再会したお話。
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Hiromitsu Yasui

1カ月に1回のドライブ

2019年3月1日からスタートした連載『29歳、フェラーリを買う』が、100回を迎えたのを記念し、フェラーリ・オウナーの大先輩である女優・夏樹陽子さんにふたたびご登場いただいた。

【前話】Vol.100 女優・夏樹陽子さんとの再会(前編)

夏樹さんといえば、長年、フェラーリを所有されていることで有名だ。真っ赤なフェラーリ「348」を購入し、夏樹さんいわく「とことん乗りつぶした」のち、現在所有するイエローの「F355」に乗り換えた。新車時から所有するワンオウナーの個体である。

【プロフィール】女優・ジュエリーデザイナー 夏樹陽子(なつきようこ)
10月24日三重県生まれ。ファッションモデルとして雑誌、CM等で活躍後、1977年に東映映画『空手バカ一代』のヒロインとして女優デビュー。同年、三代目『さそり』主演。以後、映画出演が続く。2時間ドラマにも多数出演し、“2時間ドラマの女王”と呼ばれる。近年は自身がプロデュースするジュエリーブランド「ルシオラ」のデザイナーとしても活躍する。国際C級ライセンス所有。著書に『夏樹陽子キレイの秘密』(世界文化社)、『東川町 椅子 コレクション6』(かまくら春秋社)がある。


Hiromitsu Yasui

かつては東京から神戸へ、などといった遠方へ、F355を走らせたそうだ。「たしか購入から約1週間で1000km点検を受けました」と、夏樹さんは述べた。

しかしここ数年はF355にほとんど乗れていないという。前回取材した2019年の夏からは、なんと約600kmしか走行距離は伸びていない。
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「F355に乗ったのは約1カ月ぶりです。最近は1カ月に1回ぐらいしか乗れていないですね。でも、たまに乗ると『やっぱりフェラーリはいいクルマだなぁ』と、思います」

訊くと、乗ったとしても近所への買い物がほとんどで、遠くに行っても東京都内から横浜(神奈川県)に行く程度という。

取材時の総走行距離は6万1321kmだった。

Hiromitsu Yasui

新型コロナウィルスの感染拡大前こそ、もっと頻繁に乗っていましたけどね……」と、夏樹さんは遠くを見つめる。緊急事態宣言などによってすっかり外出を控えるようになってしまったのが乗らなくなった要因だ。

「出張を伴う仕事や撮影も、多くが延期になりました。だから去年12月、熊本でおこなわれた講演会に登壇したときは、これまでにない感動や歓びを味わいましたね」
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乗る機会こそ大幅に減ったものの、コンディションは良好とのことで、トラブルは一切ナシ。1カ月に1回しか乗らないとはいえ、定期点検はしっかり受けているそうだ。愛車の主治医からも「クルマの調子は良いですよ」と、お墨付きを得ている。

「乗りにくいクルマこそ乗りこなしたい」と、話す夏樹さん。

Hiromitsu Yasui

「定期点検以外の特別な整備は受けていません。ブレーキ鳴きが気になったので、直してもらったぐらいです。車検整備時もタイミングベルトの交換といった重整備は受けていませんよ」

抜群のコンディションゆえ、ときどき「このF355、譲っていただけませんか?」と、売却のオファーが個人からくるという。

「今はまったく手放す気はありませんので、丁寧にお断りしています。とはいえ、F355がこんなにも人気が高まっているのを知らなかったので驚きました」
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キャンピングカーに興味アリ!

夏樹さんはF355とともに先代のメルセデス・ベンツ「S450」も所有する。

「普段の移動はS450がほとんどです。人も荷物もフェラーリとくらべれば、たくさんのりますので。もっとも、クルマに乗る機会自体が減ったので、これまでに比べればS450での移動も減りました」

新型コロナウィルスの感染拡大がおさまった暁には、遠くへ行きたいという。「本当はもっとF355に乗りたいし、もっと遠出したい」と、夏樹さん。

「夢はF355で、“マカロン”とともに全国のペット同伴可能なホテルを巡ることです」

愛犬のマカロンちゃん(トイプードル・メス)と夏樹さん。

Hiromitsu Yasui

マカロンとは夏樹さんの愛犬(トイプードル・メス)である。青山ケンネル(東京都港区)で一目惚れしたそうだ。「若いワンコといっしょに暮らすと、自分自身も若返るそうなんです。新型コロナウィルスの感染拡大に伴うステイ・ホーム期間が長くなったため、ほぼ毎日一緒にいます」。

今の暮らしは“マカロン・ファースト”とのことで、前述の通りマカロンと旅をするのが夢という。
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「実はキャンピングカーも興味があるんです。キャンピングカーなら密を避けつつ、さまざまな場所にも行けますしね。ただ、置き場所の問題などをクリアしなければならないので、購入のハードルは高いです」

フェラーリとキャンピングカーの2台生活を楽しんでみたいとおっしゃる夏樹さんに「軽自動車のバンタイプを改造した小型のキャンピングカーもありますよ?」と、話すと、「そうなんですね! どちらで販売されているんですか?」と、興味津々だった。

夏樹さんはF355の、とくにリアビューが好きという。

Hiromitsu Yasui

ポルシェ911シリーズは気になるけれども……

キャンピングカー以外に、興味あるクルマについて訊くと意外な答えが返ってきた。

「やっぱりポルシェ『911シリーズ』ですかね。この前、真っ白な911カブリオレを見て『オープンの911もいいなぁ〜』なんて考えていました」

かつて911カブリオレ(タイプ930)を所有していた夏樹さんは「当時のカブリオレはソフトトップの開閉が手動でした。今は電動だから気軽に開閉出来るからいいですよね」と、話す。

夏樹さんは、「F355を手放すつもりはありません」と、きっぱり言い切る。

Hiromitsu Yasui

とはいえ、今の911シリーズはオートマチック・トランスミッションが中心だ。「911シリーズは、ティプトロニックが搭載されたあたりから運転しやすくなってしまい面白みが薄れてしまったように感じました」と、話していただけに、911シリーズが気になるというのは意外だった。

「不思議ですよね(笑)。なんだかんだ言っても、911はいいクルマなんです。だから最新モデルに乗るのもアリです」

フェラーリの最新モデルはというと、「あまり興味は湧きませんね。誰でも乗りこなせるようになってしまいましたし、誰でも購入出来るようになってしまったからかもしれません。もっともクルマとしての完成度はパーフェクトなのですが」と、話す。

夏樹さんのF355は6MTだ。今も叶うなら、スポーツカーはマニュアル・トランスミッションで乗りたいとのこと。

Hiromitsu Yasui

夏樹さんの次期愛車は911シリーズになるのだろうか。

「興味がわずかにある程度で、F355を手放してすぐに乗り換えるつもりはまったくありません。やっぱりこの子が1番です」
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「新型コロナウィルスの感染拡大で落ち着かない日々は続きますが、そんな今こそ“日々をどうやって楽しむか”と、常に考えています」と、笑顔で話す。

Hiromitsu Yasui

新型コロナウィルスの影響でフェラーリに乗れない日々が続くのはボクもおなじである。1カ月に1回しか運転出来ないという状況も似ている。

ボクも今回の撮影のため、久しぶりに横浜から東京まで360モデナを運転した。自宅から撮影場所までの往復走行距離はたったの約60kmしかなかったものの、実に充実した移動時間だった。ドアやフロントフードを開閉するだけでも、所有している歓びが味わえる。

夏樹さんのF355と筆者の360モデナ(2000年製)。

Hiromitsu Yasui

「フェラーリは走らせてこそ意味がある。乗らないフェラーリなど所有しても意味がない」と、述べる人もいる。が、頻繁に乗らずともフェラーリのある暮らしを楽しめるのだ。だからこそ、夏樹さんも決して手放そうとしないのだ。たとえ1カ月に1回しか乗れなくても、フェラーリは楽しめるのである。

新型コロナウィルスの感染拡大が終息したら、ボクもいろいろな場所へ行こうと思う。その日まで、今は我慢。でも辛くはない。いつも傍に360モデナがあれば、それで十分なのだから。

Hiromitsu Yasui

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文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) ヘアメイク・西村恵、鯨岡拓也 撮影協力・ホテルメルパルク東京