酒の蔵探訪

シャトー勝沼(山梨県甲州市) 高級品の技術で「家飲み」ワイン

【酒の蔵探訪】シャトー勝沼(山梨県甲州市) 高級品の技術で「家飲み」ワイン
【酒の蔵探訪】シャトー勝沼(山梨県甲州市) 高級品の技術で「家飲み」ワイン
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 新型コロナウイルス感染拡大で業界が打撃を受ける中、自宅でお酒を楽しむ「家飲み」需要の取り込みを狙う。昨年6月に発売した500ミリリットル入り1100円の白ワイン「アイムホーム」が好評で、5月15日には赤ワインも登場する。

 「アイムホームはただいまという意味。家庭料理と相性ぴったりの、すっきりした味わいです」と今村英香(ひでか)専務(53)は話す。1千円で飲めるワインがほしいという声を受けて造ったという。

 また、2年前に発売した酸化防止剤を添加せず、糖も加えない「無添加・無補糖赤ワイン」(600ミリリットル、1100円)が売れている。ワインは発酵前、アルコール度を高めるために糖を補うが、温度管理によって省くことに成功した。

 ワインメーカーなのに「休肝日」も推奨する。奥さんが「あなた、たまにはお酒を休んで私とこれを飲みましょう」という場面を想定しているのが、ノンアルコールワイン「カツヌマグレープ」(720ミリリットル、1026円)だ。

 平成22年に発売。ブドウジュースではなくワインの味に似せている。試行錯誤の結果、赤は緑茶を使って渋みを出し、白はレモン果汁でさわやかな酸味を演出した。

 こうした大衆路線は正統派の高級ワイン造りの技術に支えられている。「2004年鳥居平(とりいびら)倶楽部勝沼」(720ミリリットル、1万1008円)が現在の代表作。鳥居平とは、ブドウ作りに最適な斜面が広がる勝沼随一の産地だ。

 シャトー勝沼は144年前、ブドウ栽培を行っていた今村與三郎(よさぶろう)氏がワイン醸造を手掛けたのが始まり。その技は3代目の英勇(えいゆう)会長(82)に受け継がれた。

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