パナソニックが中小型テレビを中国TCLに生産委託へ

 パナソニックが令和3年度中にも中国の電機大手TCLにテレビ事業の一部を生産委託する方向で最終調整を進めていることが30日、分かった。早ければ5月中にも合意する。中国や韓国勢など海外メーカーとの価格競争で収益が悪化していた低価格帯の中小型機種を中心に生産を委託し、経営の合理化を進める。

 パナソニックはTCLに生産を委託した中小型機種を自社の「ビエラ」ブランドなどとして販売する。自社生産は高価格帯の大型液晶テレビや有機ELテレビなどに特化する。

 パナソニックは平成27年度までに中国と北米でテレビ生産から撤退。令和元年度には世界で約600万台のテレビを販売したが、収益悪化を受けて世界7工場での生産見直しを進め、インドとベトナムでは今年度中に生産を終える。国内唯一の生産拠点である宇都宮工場(宇都宮市)では有機ELなど一部の生産は継続し、別の製品の工場に転換する。

 パナソニックは昭和27年にテレビ生産を始め、平成22年度には世界で2千万台以上を販売。しかし、約6千億円を投資したプラズマテレビ事業が、液晶テレビとの競争激化で頓挫。近年は韓国や中国メーカーの台頭も重なってテレビ事業は令和2年3月期で100億円超の赤字となり、構造改革の対象になっていた。

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