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 富士通は2021年4月1日付で、ハードウエア全盛時に活躍した沼津工場(メインフレームとソフトウエア)、長野工場(ストレージ)、小山工場(通信ネットワーク)の3拠点を本社の総務部門へ移管した。3拠点は従来、ハードやソフトの開発製造を担当するシステムプラットフォームビジネス部門に属していた。

 これに先立って川崎工場(研究開発)、明石工場(周辺装置)、那須工場(無線通信装置)は総務部門に移管済みであり、富士通が主力に据える6拠点の工場は全て総務の管轄になった。富士通は「工場ファシリティの管理強化と在り方の検討推進のため」と説明するが、富士通子会社の元社長は次のように解説する。

 「6拠点は『整理ポスト』入りとみてよい。1拠点は売り先がほぼ決まったと聞いている。IBMモデルからサービス中心のアクセンチュアモデルへの切り替えを志向し、社名変更まで視野に入れる時田(隆仁)社長にとって工場の整理は既定路線。売却し、モデル変革の原資にするのは賢明な策。ハードやソフト製品で勝利が見込めないのは事実だから」

図 富士通の主な国内開発・製造工場数の推移(子会社を除く)
図 富士通の主な国内開発・製造工場数の推移(子会社を除く)
25年間で拠点数5分の1、研究開発費3分の1に(出所:富士通データブックを基に日経コンピュータ作成)
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