外食再び時短に疲弊 大阪、来客頭打ち 東京緩み…外出コロナ前水準

新宿駅周辺を行き交う人々=9日午後、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)
新宿駅周辺を行き交う人々=9日午後、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)

 政府が9日、緊急事態宣言に準じた「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用対象として東京、京都、沖縄の3都府県追加を決めたことを受け、外食業界からは「また客足が遠のく」などと戸惑いの声が聞かれた。一足早く措置が適用された大阪府では来店客数の減少傾向がみられるが、感染者数が落ち着けば、再び外出自粛は緩むとの指摘もある。

 「名前こそ違うが、中身は緊急事態宣言と同じで、経営への影響は避けられない」。外食チェーン大手の関係者は措置の対象地域拡大にため息をつく。大手居酒屋チェーンの担当者も「基本的には措置に応じるが、夜間営業ができないのは厳しい」と話す。

 先行の適用地域ではアクリル板設置のほか、店舗側が来店客に会話中のマスク着用を徹底させるよう求められたが、「来店客にマスクについて注意するのは現場では難しく、緊急事態宣言よりやることが増える印象だ」(居酒屋チェーン)と話す。

 ただ東京を中心とする首都圏では外出自粛にゆるみがみられる。飲食店向け予約システムを提供するトレタ(東京)によると、1都3県の飲食店の来店客数は緊急事態宣言中は2年前の4割未満だったが、解除後の3月22~28日の1週間では55・1%まで回復。午前11時から午後5時までに限ると、96・9%とほぼコロナ禍前の水準まで戻っている。

 みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「統計では1月下旬ごろから外出関連の消費は回復が始まっていた。コロナ疲れ、自粛疲れが顕著になっている」と分析した上で、「力強い規制をかけないと、人の流れを止めるのが難しくなっている」と強調する。

 一足早く措置が適用された大阪府では、飲食店の来店客数に頭打ちの傾向がみられる。トレタによると大阪府の来店客数は3月中旬ごろから2年前の6割超まで回復したが、措置が決まった3月29日~4月4日の週は5割を切り、増加が抑えられているという。

 大阪市中心部のある外食チェーンの店舗では閉店時間を午後9時から同8時に早め、措置が始まる前の週に比べ、1日当たりの夜間売り上げがほぼ半減した。担当者は「都市部は人出自体が減っている上、夜間のピークタイムが削られた影響は大きい」という。

 小林氏は「時短営業に応じた飲食店の協力金を規模別にするなど改善点もあるが、感染拡大がある程度、抑えられた段階で人の流れが復活するというパターンが繰り返される可能性もある」と指摘する。

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