AI時代、雇用守る「知恵と哲学」を 新井紀子氏
パクスなき世界 国立情報学研究所教授
デジタル化の加速にコロナ禍が重なり、人工知能(AI)に雇用の機会を奪われる層が生まれている。国立情報学研究所の新井紀子教授に産業構造の変化と労働について聞いた。
――技術革新の歴史に学ぶことはありますか。
「イノベーションが特定の労働を代替し、仕事を失う人が大量に出るという歴史は繰り返されてきた。産業革命では生産性が低い家内制手工業を担う熟練労働者が機械へと代わった。大量生産をめざす近代的工場では熟練度と関係のない大勢の労働者を必要とした」
「資本主義や民主主義の礎も築いた。大量生産を可能としたフォードシステムは工場管理の事務職を生み、ホワイトカラーが戦後の繁栄をけん引した」
「長期的には技術革新は社会を前進させるが、雇用のミスマッチは困窮者を生む
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新型コロナウイルスの危機は世界の矛盾をあぶり出し、変化を加速した。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」は消え、価値観の再構築が問われている。「パクスなき世界」では、どんな明日をつくるかを考えていく。