報ステCM炎上、現場を知る女性ディレクターが語っていたウラ側と「CMとしての欠陥」

こんな人いません

テレビ朝日の報道番組「報道ステーション」のウェブCMが批判を受けて放送中止となった件は、同局の定例会見で早河洋会長が、報道担当役員と報道局長を厳重注意処分にしたと発表するほどの事態となった。ここではテレビ関係者の感想も交え、「CM」というもの本質を掘り下げて考えてみたい。

問題のCMは若い出演女性が「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」と語るもので、前後に「久々に会社に出勤したら先輩が産休あけて赤ちゃんを連れてきてかわいかった」とか「消費税高くなったよね、国の借金って減ってないよね?」など話した後、「あ、9時54分!ちょっとニュース見ていい?」と言い、画面に「こいつ報ステみてるな」とテロップが出るもの。

〔PHOTO〕iStock
 

CMの主旨を、最大限の善意をもって汲み取れば、「ジェンダー平等」という問題の提起を「時代遅れ」としているのではなく、「いまどきジェンダー平等は当たり前の社会であるべきだから、スローガンに掲げる政治家は時代遅れ」という意味の発言にしたかったのかもしれない。しかしそれでも、このCMが批判を浴び、多くの人をいらだたせた理由の一つは、「存在しそうにない若い女性の視聴者像」をわざとらしく作った点にあるのではないか。

実はこのCM、ここまでの事態になる直前、報ステで働いたことのある女性ディレクターから感想を聞いていた。それはジェンダー関連を抜きにした部分においての批判だった。

「これを作った当のテレビ局の仕事現場に、女性が子連れで職場に来られるような空気が絶対にないんです。まず、下請け制作会社から来る多くの女性スタッフは、子供ができたらほぼ全員、現場から遠ざけられるので、子連れで会社に来れるとすれば、ごく一部の立場のある局員だけ。女子アナでさえ子連れ出社なんて見たことがないですから。これ、おそらく男性、それも現場を知らない上の方の人とか放送作家が作った、いかにも現実離れした女性像ですよ」

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