有言実行男松元カツオが泳ぐ 男子自由形、61年ぶり五輪メダルへ「まずは44秒台」

有言実行男松元カツオが泳ぐ 男子自由形、61年ぶり五輪メダルへ「まずは44秒台」
有言実行男松元カツオが泳ぐ 男子自由形、61年ぶり五輪メダルへ「まずは44秒台」
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 日本のカツオが大海へ向けて泳ぎだす。競泳男子200メートル自由形で東京五輪金メダル候補の松元克央(かつひろ)=セントラルスポーツ=が、東京五輪代表選考会を兼ねる日本選手権(3日開幕、東京アクアティクスセンター)に挑む。名前の漢字をもじって愛称は「カツオ」。2019年世界選手権で五輪・世界選手権を通じて日本勢初となる銀メダルを獲得した24歳は、「不安はない。やることはやってきた」と自信を胸にスタート台に立つ。

 五輪の出場経験はない。それでも松元にとって日本選手権は、あくまで通過点に過ぎない。目指すのは日本水泳連盟(日本水連)が定める五輪の派遣標準記録1分45秒76のさらに上。優勝しての代表権獲得は当然で、日本勢初となる1分44秒台への突入を見据える。

 1988年ソウル五輪男子100メートル背泳ぎ金メダルの鈴木大地さんを育て上げた鈴木陽二コーチは「(1分)44秒台前半にこないと、(東京五輪は)金メダルの土俵には上がれない」とみる。そのためのファーストステップとして、どんなタイムを出せるか。五輪金を占う上で日本選手権は、重要な腕試しの舞台となる。

 新型コロナウイルスによる東京五輪の1年延期で、一時はモチベーションの維持に苦しんだ。「せっかく頑張ってきたのに、なんのためにやってきたんだろうという複雑な気持ちがたくさんあった」。死に物狂いの練習も、高い目標があったから乗り越えられた。目指すゴールが揺らぎ、泳ぐ意味を見失いかけた。

 約50年の指導歴を持つ71歳の鈴木コーチにとっても、こんな経験は初めてだった。気持ちの入らない選手に無理をさせても力はつかない。通常1日2回だった練習を、昨年10月までは1回に減らした。量を減らす分、質を高め、「一回一回きちんとできるトレーニングをやってきた。それさえしておけば持久性は保てるんじゃないかというもくろみだった」と鈴木コーチ。経験則をもとにメニューを組み、最低限の状態を維持してきた。

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