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公正取引委員会は31日、アルゴリズム(計算手順)やAI(人工知能)によって企業が価格を調整する行為は、独占禁止法違反のおそれがあるとする報告書を公表した。企業同士の申し合わせがなくても、最新のデジタル技術によって価格カルテルに結びつく可能性を指摘したものだ。
経済や工学の専門家を集めた公取委の「デジタル市場における競争政策に関する研究会」がまとめた。
デジタル技術の普及によって、企業は他社の商品やサービスの価格を把握しやすくなっている。競争に負けないよう、他社の価格に合わせて自社商品の価格も決める仕組みにすれば、業界の価格をほぼ横並びにできるため、競争が制限されることが懸念されている。
報告書では、アルゴリズムは価格カルテルを容易にし、「競争事業者間の協調的な価格設定につながりうる」と指摘した。結果的に価格が一致することは容認する一方で、価格を合わせる認識を持って、価格の監視や調整にアルゴリズムを使った場合は独禁法違反のおそれがあるとした。AIの学習機能による価格協調の可能性にも触れ、「独禁法上の問題となり得る動作を速やかに止める設計が望ましい」と警鐘を鳴らした。