2023年末までゼロ金利 FRB、見通し変えず 景気回復「完遂まで継続」

FRBのパウエル議長(共同)
FRBのパウエル議長(共同)

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利政策を2023年末まで継続する見通しを据え置いた。景気回復が進み、21年10月~12月期の実質成長率予想を6・5%に引き上げたが、「回復が完全になるまで強力な支援を維持する」(パウエル議長)として、金融引き締めを前倒しするとの市場の見方を退けた。

 この日のFOMCでは、ゼロ金利政策と、米国債などを月額1200億ドル(約13兆円)買い入れる量的金融緩和策の維持を決めた。

 会合参加者による金利予想は、23年中の利上げを18人中、7人が見込んだ。前回の昨年12月段階から2人増えたが、大半が依然としてゼロ金利継続を想定したため、前回見通しの「利上げは24年以降になる」との立場を変えなかった。

 21年10~12月期の成長率は、前回予測の4・2%から2・3ポイントの上方修正となった。失業率は21年末に4・5%、22年末に3・9%とした。物価上昇率は21年末に2・4%と目標の2%を上回るが、22年末は2・0%まで下がる見通し。

 市場では、ワクチンの普及や、米政府の巨額財政出動で景気が過熱し、インフレが急伸することへの警戒感がある。記者会見したパウエル議長は「一時的な物価上昇は(利上げ)基準を満たさない」と指摘。「辛抱強く緩和を続ける」と述べ、景気や雇用の回復が確実になるまで金融緩和を維持する重要性を強調した。

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