香港の黄之鋒氏ら47人、政府転覆罪で起訴 国安法違反
【香港=木原雄士】香港警察は2月28日、服役中の民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら47人を香港国家安全維持法の国家政権転覆罪で起訴した。民主派が立法会(議会)選挙に向けて実施した2020年の予備選が政権転覆の企てにあたると判断した。
警察は23~64歳の男39人、女8人を起訴したと発表した。14年の民主化運動、雨傘運動の提唱者として知られる戴耀廷・元香港大学副教授や東大大学院に在籍していた元議員の区諾軒氏、19年の大規模デモを主催した民主派団体元代表の岑子傑氏らも起訴された。1月に同じ容疑で逮捕した米国人弁護士らの起訴は見送ったものの、捜査は続ける。
政権転覆罪の最高刑は終身刑。香港国安法は起訴後の保釈を厳しく制限する規定があり、民主派の主要人物の多くが長期間、収監される可能性がある。黄氏は違法集会を扇動した罪で実刑判決を受け服役中。国際社会でもっとも知られた香港の活動家の一人で、批判が高まる可能性がある。
民主派は立法会で過半数を握って予算案を否決し、行政長官を辞任に追い込む戦略を掲げた。民主派内の候補者を絞り込むために実施したのが予備選だ。警察はこれが「国家権力の破壊をめざした行為」にあたるとして、1月に予備選の呼びかけ人や候補者として参加した55人を逮捕していた。
これまでに香港紙創業者・黎智英(ジミー・ライ)氏らが香港国安法に違反した罪で起訴された。政権転覆罪での起訴は今回、初めて。起訴された47人には香港独立をめざさない穏健な民主派も多く含まれ、民主派の活動余地はますます小さくなっている。
予備選にかかわった民主派団体「民主動力」は起訴に先立つ2月27日、活動を停止し解散すると表明した。