2021.02.10
# 企業・経営

貧乏な国になった日本で「若者の自動車ばなれ」を防ぐ「たった一つの方法」

このままでは自動車業界が危ない

若者のクルマ離れが指摘されてから久しい。日本の場合、国民の平均所得が著しく減少しており、特に賃金の低い若者にとっては、買いたくても買えないというのが現実である。だが、若い世代が以前ほどクルマに対して興味を示さないのは各国共通の現象でもある。

これには社会のIT化というイノベーションが密接に関係しており、逆にいえば、この動きを逆手に取ることで、若者を取り戻すことができる。そのためには、自動車業界自身が抜本的に変わらなければならない。

若者がクルマを好まない理由は単純

ソニー損害保険が昨年12月に行った調査によると、2021年の新成人の中で「クルマに興味がある」と回答した人は36.2%、「興味がない」と回答した人は41.5%だった。「興味がない」と答える若者の方が多く、クルマ離れを裏付ける結果となった。

だが冒頭でも説明したように、日本の場合には買いたくても買えないという事情がある。

〔PHOTO〕iStock
 

自動車産業というのは完全にグローバル化しており、自動車の販売価格は国内事情とは無関係に決まる。過去20年、世界経済は順調に成長し、日本を除く各国では賃金が著しく上昇したので、自動車価格も上がる一方だった。

トヨタ自動車の1台あたりの平均販売価格は、1990年代には200万~250万円だったが、2000年代には250万円を超え、2015年以降は300万円を突破している。一方で日本人の実質賃金は過去20年で大幅に下がっているので、日本人にとってクルマはもはや高嶺の花となっている。

装備にもよるが、200万円もする軽自動車が存在する時代であることを考えると、年収が低い若年層がクルマを買えるワケがない(自動車メーカーは日本の所得が減っているからといって、日本でだけクルマを安く売ることはできない)。

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