【動画あり】差別指摘投稿は「公正な論評」 名誉毀損訴訟で竹田恒泰氏敗訴<東京地裁判決>

2021年2月6日 16時11分
 明治天皇の玄孫やしゃごで作家の竹田恒泰氏が、戦史・紛争研究家の山崎雅弘氏によってツイッター上に「差別主義者だ」などと投稿され名誉を傷つけられたとして、山崎氏に550万円の損害賠償と投稿削除を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。前沢達朗裁判長は「竹田氏の思想を『自国優越思想』と論評することは、公正な論評で論評の域を逸脱するものとはいえない」として、竹田氏の請求を棄却した。
 判決によると、山崎氏は2019年11月、富山県朝日町教育委員会が、中高生らを対象にした講演会に竹田氏を講師として招くことについて「町内の中・高生に自国優越思想の妄想を植え付けさせる」「この人物が教育現場に出してはいけない人権侵害常習犯の差別主義者だとすぐわかる」などと投稿した。
 訴訟で竹田氏側は「誹謗ひぼう中傷し、人格攻撃を繰り返し、侮辱する行為だ」と主張していた。
 判決は、竹田氏が「笑えるほどたちが悪い韓国の話」と題する著書などを出したり、「韓国はゆすりたかりの名人」「韓国が慰安婦の像を作るなら、日本はうそをつく老婆ろうばの像でも作ったらどうだ」などと投稿したことに触れ、「竹田氏が元従軍慰安婦に攻撃的・侮辱的な発言を繰り返し、在日韓国人・朝鮮人を排除する発言を繰り返していることに照らせば、発言を人権侵害の点で捉える相応の根拠がある」と指摘。投稿が社会的評価を低下させるものであっても「一定の批判は享受すべきた」として、名誉侵害には当たらないと判断した。
 判決後、東京都内で記者会見した山崎氏は「公正な判断が出た。社会にはびこる民族差別に反論できるアクションになった。(国や自治体が)普段、差別的な言説を社会に拡散するような人物を招き、中高生に講演を行ったり、自衛隊の幹部候補生の前で話をさせたりすれば、差別的な主張が伝播でんぱする可能性ある」と指摘した
 竹田氏の代理人は「依頼人と協議し、今後の対応を決めたい」とした。(望月衣塑子)

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