熊本県警、当直を労働時間から除外 過労死ライン超え続け、24歳刑事自殺

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渡辺崇寿さんの遺影を掲げた仏壇に手を合わせる母美智代さん=熊本県宇城市で2021年1月28日午後1時56分、樋口岳大撮影
渡辺崇寿さんの遺影を掲げた仏壇に手を合わせる母美智代さん=熊本県宇城市で2021年1月28日午後1時56分、樋口岳大撮影

 熊本県警が2020年11月まで、警察署の当直勤務を労働時間から除外する運用をしていたことが、県警への取材で明らかになった。当直勤務中も事件事故などに対応するが、県警は国が「ほとんど労働する必要のない勤務」に限り労働時間に算入しないことを認めている「断続的労働」とみなしていた。長時間労働の末に17年に自殺した県警玉名署巡査の死を巡り、地方公務員災害補償基金が認定した時間外労働と同署の算定に最大で月約50時間の開きがあることも判明したが、当直を労働時間から除外していたのが一因だった。

 死亡した渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24歳)は12年に高校卒業後、警察官となり、玉名署に配属。自動車警ら係などを経て17年4月に刑事課に配属されたが、同9月11日、遺書を残して命を絶った。

 20年11月に自殺が公務災害に当たると認定した地方公務員災害補償基金が21年1月、遺族に開示した認定文書などによると、渡辺さんは週1回のペースで当直勤務(平日は午後5時15分~翌午前8時半、休日は午前8時半から翌午前8時半)に入っていた。

 ところが、県警は渡辺さんに限らず、当直勤務について、手当は支給するものの、労働基準法が原則「週40時間まで」と定めて規制する労働時間には含めていなかった。県警は基金の調査に対し、労働時間に含めなかった理由について、県の規則で当直が「断続的労働」と規定されているためと説明していた。

 国は通達で「断続的労働」を「構内巡視や文書電話の収受など、常態としてほとんど労働をする必要がない勤務」と定義し、労基法は労働時間に算入しないことを例外的に認めている。ただ、警察署では当直勤務中も事件の初動捜査や検視、事故対応など…

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