千代田区長選で自公系候補敗北 夏の都議選に不安、小池氏は存在感

千代田区長選に初当選し、画面の小池百合子知事らと万歳する樋口高顕氏=31日午後11時5分ごろ、同区神田神保町(本江希望撮影)
千代田区長選に初当選し、画面の小池百合子知事らと万歳する樋口高顕氏=31日午後11時5分ごろ、同区神田神保町(本江希望撮影)

 1月31日投開票の東京都千代田区長選は小池百合子都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」推薦の樋口高顕氏が自民、公明両党推薦の早尾恭一氏らを破り、初当選を果たした。新型コロナウイルスへの対応で注目を浴びる小池氏が存在感を高める一方、都議選(7月4日投開票)の前哨戦と位置付けてきた自民都連には不安を残す結果となり、戦略の練り直しを迫られる。

 「小池さんがギアが入ったときの勘どころ、勝負どころ、抑えどころには改めて敬服した」

 樋口氏は当選を決めた31日夜、選挙戦で繰り返し応援に入った小池氏を持ち上げた。樋口氏は学生時代に小池氏の事務所でインターンをした経験があり、小池氏は「政治の師」のような存在。小池氏はオンラインのモニター画面越しに当選の場に立ち会い、「住みやすい千代田区づくりを応援したい」と祝意を送った。

 選挙戦では、新型コロナ対策で都と区の連携をアピールした樋口氏に対し、早尾氏は前回の区長選で小池氏が支援した前区長のマンション購入をめぐる疑惑を絡めて体制刷新を訴えた。小池氏と自民都連の「代理戦争」の構図となり、自民党本部は野田聖子幹事長代行を送り込んで早尾氏を後押ししたが、及ばなかった。

 区長選の勝利を弾みに、都議選で第一党奪還を目指す都連の狙いは崩れた形で、都連重鎮は「小池氏の応援が効いた」と率直に小池氏の実力を認めざるを得なかった。都民ファーストは離党者が相次ぎ、失速気味とみられただけに「夏までに態勢を立て直さないとやられる」と危機感を強めた。

 もっとも、自民側には都議選で小池氏との「全面戦争」を避けたい思惑も透ける。昨年の都知事選では独自候補を擁立せず、小池氏を事実上支援した。下村博文政調会長は「できるだけ協調性を持った対応をしていただければありがたい」と話す。

 ただ、区長選で小池氏が表立って都民ファースト推薦候補を応援したことで先行きは不透明だ。自民都連幹部は「小池氏がどう立ち振る舞うか分からない。うちはうちで戦う準備をするだけだ」と語った。(広池慶一)

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