82歳の母親を「入居金0円」の老人ホームに入れて、大後悔した一人娘の悲劇

「値段相応」のヒドい施設だった

突然やってくる親の介護。多くの人はどこか他人事と思っていて、準備ができていない。特に重要なのが介護資金だが、親の預貯金を当てにしていると足りないことも多い。

親の介護が必要になったその時、どう対処するべきか。母親が突然倒れて介護資金を十分に用意できず、破産寸前にまで陥った会社員・鈴木恵子さん(仮名・55歳)の例から“介護の初動でやってはいけないこと”や“普段から考えておくべきお金のこと”を紹介したい 。

元気だった母親が、突然ICUに

重要な会議中に、恵子さんの携帯が鳴ったのは5年前のことだった。

電話は隣町の大病院からだった。一人暮らしをしていた母親の初江さん(当時82歳) が脳梗塞で倒れ、救急車で運び込まれたとのことだった。

「その前の週も一緒にショッピングに行ったばかりで、本当に青天の霹靂でした。慌てて病院に駆けつけました」

初江さんはICUに入り、意識がない状態だったが、約1カ月の入院生活の間に意識を取り戻し、徐々に回復に向かっていった。ただ、歩行困難で寝たきり。恵子さんのことは認識できるようになったものの、何となくぼんやりしている感じだったという。

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とても自宅に戻って今まで通りの一人暮らしをするのはむずかしいだろうと思いつつ、シングルマザーで息子2人と賃貸マンション暮らしの恵子さんには引き取る余裕もない。さらに一人娘の恵子さんには相談相手もいなかった。

「入院中から“みんかい”とか“HOME’S介護”(現在はLIFULL介護)など老人介護施設の検索サイトに登録して、どこか母が入居できるところがないか、探しまわりました」

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