北極海に大量の繊維状プラ 洗濯排水で汚染か
北極海の海水に、繊維状の微小プラスチック「マイクロプラスチック」が大量に存在しているとの調査結果をカナダの研究チームが13日までに公表した。見つかったマイクロプラスチックの約9割がポリエステルなど化学繊維由来で、チームは「家庭で衣類を洗濯した際の排水が世界の海の汚染につながっている可能性がある」と警告した。
チームは北極海のさまざまな位置で2016年に採取した海水を分析した。長さ平均1ミリ程度の大量の繊維状マイクロプラスチックが見つかり、海水1立方メートル当たり平均約40個が含まれていると推計した。ほとんどが化学繊維で、約7割がポリエステルだった。海面に近い表層で多く見つかる一方、深さ千メートルでも確認された。
チームはこれまでの研究で、家庭で衣類1点を洗濯すると排水に何百万個もの細かい繊維が含まれ、米とカナダで年間3500兆個の繊維状マイクロプラスチックが環境中に出ていると試算。海流に乗って大西洋から北極海に大量に流入していると推定する。
繊維状のマイクロプラスチックは、世界の多くの国で水道水などから検出されている。日本でも東京農工大の調査で貝類から見つかった。微小なプラスチックは、環境中の有害な化学物質を吸着し、のみ込んだ生物への影響が懸念されている。
調査はカナダのオーシャン・ワイズ・コンサべーション協会などが実施し、結果は科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。〔共同〕