【独自】教員願書に「処分歴」、42教委で導入…「官報情報では免職理由わからない」

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「刑罰・処分歴」の記入欄がある青森県教委の願書
「刑罰・処分歴」の記入欄がある青森県教委の願書

 わいせつ行為で懲戒処分を受ける教員が後を絶たない現状を受け、採用時の願書などに「処分歴」を書くよう求める動きが全国の教育委員会で広がっている。読売新聞が全都道府県・政令市の67教委に調査したところ、6割以上にあたる42教委で処分の有無を明記するよう求めていることが分かった。過去の処分を教員採用時の判断材料の一つにしたいと考える教委が増えているようだ。

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■再発防止

 「過去の行為に気づけなかった。再発を防止したい」。今年度の教員採用から志望書類に懲戒処分歴の記入を求めているさいたま市教委の担当者は話す。

 同市教委は2018年、女子高生にわいせつな行為をしたとして男性教員を懲戒免職とした。市教委が本人に確認したところ、他県で教員をしていた02年にもわいせつ行為で懲戒免職となっていたことが判明。市教委は17年にこの男性を採用したが、当時の志望書類には処分歴を書く欄はなく、男性は自らの経歴に過去の処分のことを書かなかった。

 この問題を重く受け止めた市教委は、志望書類の書式を改め、新たに「賞罰欄」を追加。過去の処分の有無だけでなく、「わいせつ行為で処分を受けた」といった具体的な理由の記入も求めている。

■具体記述も

 読売新聞は10~11月、全国67教委を対象に、教員採用時の処分歴の把握状況などを調査。この結果、42教委が志望書類に処分の有無を書くよう求めており、このうち12教委(青森、秋田、福島、栃木、新潟、石川、山梨、奈良、熊本の9県と、さいたま、神戸、福岡の3市)は「わいせつ」や「体罰」など具体的な処分理由の記入も求めていた。

 青森県教委は、他県での教員経験がある志望者が増えたことから、19年度から処分の具体的な理由の記入を求めている。

 懲戒免職となり免許が失効した教員の情報は、教員免許法に基づき官報に掲載されるが、青森県教委の担当者は「官報では免職理由が分からず、停職の人は対象外。前の職場でわいせつ行為によって懲戒処分となった教員は採用するわけにはいかず、独自に情報把握が必要と考えた」と打ち明ける。

 今年度、願書に処分歴の記入欄を新設した大阪府教委では、採用後に虚偽記載が発覚すれば懲戒処分も検討するという。

 京都教育大の榊原禎宏教授(公教育経営論)は「教員には高い倫理観を求めるという教育委員会側の姿勢を示している。処分の有無だけでなく具体的な内容や理由を手がかりに人物を幅広く理解し、面接などで総合的に教員としての適性を判断する取り組みを進めるべきだ」と指摘する。

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