「このまま二度と会えない気がして」
上野樹里(34)が主演するフジテレビの連続ドラマ『監察医 朝顔』(月曜午後9時)が安定した人気を得ている。第7話までの平均世帯視聴率は約11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。12月21日放送の第8話からは新章「孤独編」に入る。
なぜ、孤独なのかというと、まず上野扮する朝顔の夫で刑事の桑原真也(風間俊介、37)が、神奈川県警捜査一課から長野県警に異動になってしまう。父・万木平(時任三郎、62)も東日本大震災で行方不明になった妻・里子(石田ひかり、46)の地元である岩手県仙ノ浦町に移住。朝顔は一人娘・つぐみ(加藤柚凪、5)と2人きりで暮らすことになるからだ。
その上、平を見送る際、朝顔は強い不安感に襲われる。第7話のラストで、こうつぶやいた。
「凄い胸騒ぎがした。このまま二度と会えない気がして」
『朝顔』はほかの法医学ドラマと違い、朝顔一家の家族愛も物語のテーマで、大きな魅力となっている。新章では一家と朝顔にどんな運命が待っているのか・・・。
上野は『アリスの棘』(TBS、2014年)で演じた小山内明日美のようにシリアスなダークヒロインから『のだめカンタービレ』(フジ、2006年)で扮した野田恵のようなコミカルな役柄まで、幅広くリアルに演じる演技巧者。とりわけ、朝顔のようにひたむきで誠実な女性役はハマり役に映る。
朝顔は感情を露わにしないが、これも上野には合っているのではないか。長く本人の側にいる関係者に聞いたところ、こう語った。
「やりやすい役だと思います。ほんの少しの表情を変えることで、人情の機微を表現するのが得意だと思いますから」
一例は第6話と第7話。朝顔は夫の桑原に拳銃誤射による死亡事件の容疑がかかり、朝顔は身内だとして解剖から外され、無言で悔しさやもどかしさを表したが、上野の演技はほんの少し顔を歪めただけだった。
上野の演技力の真骨頂が発揮された場面の1つだろう。この人が「天才」とも評される理由の1つでもある。目だけで内面が表せてしまう。