かつて財閥は、複数の事業を手がけることで繁栄をきわめた。このモデルは近年、衰退したかに見えたが、実はいま、かつての財閥のような企業のコングロマリット化が着々と進行している。「これからは本業を決めずに、あらゆる業界に参入する企業だけが生き残ります」……そう語るのは、『2025年を制覇する破壊的企業』を上梓した、ベンチャーキャピタリストの山本康正氏だ。いま世界を席巻している企業に何が起こっているのか、分析してもらった。
変化をやめない「GAFA」
アマゾンやアップルが金融業界に参入したとき、まわりの企業は驚いたことでしょう。
参考記事:アップルが、「利益ゼロ」なのに「クレジットカード」に参入した理由
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しかし彼らにしてみれば、業種の壁を乗り越えることなど、何のためらいもなかったはずです。そもそも彼らは、本業が何であるということすら、決めていません。
時代は常に変化していて、次から次に新しい技術やサービスが登場する。これらの時流をいち早くキャッチアップすることが重要であり、何の業界であるかどうかは関係ないからです。そしてこのようなスタンスでいることが重要であることを、アマゾンやグーグルは理解しているのです。
逆の言い方をすれば、本業を限定してしまい、その事業ばかりに固執している企業は、足をすくわれます。つまり、常に変化に対応できる準備をしておく必要があります。
たとえば人工知能のような新しいテクノロジーは、いとも簡単にそれまで業界を牛耳っていたビッグカンパニーの牙城を、崩す可能性があります。そして実現するのは、規模の小さいベンチャーだったりするのも昨今のトレンドです。
オリンパスが84年続いたカメラ事業からの撤退を表明しました。それまでオリンパスとしては当然、性能のさらなる強化など同業者への対抗策はとっていたことでしょう。
しかし彼らの足をすくったのは、スマホカメラでした。このような動きが、これからの未来では頻繁に起こります。