座席間の距離を確保して感染防止策を徹底する料亭。師走の飲食業界は忘年会のキャンセルが相次ぎ、再び苦境に立たされている(京都市上京区・畑かく)

座席間の距離を確保して感染防止策を徹底する料亭。師走の飲食業界は忘年会のキャンセルが相次ぎ、再び苦境に立たされている(京都市上京区・畑かく)

 新型コロナウイルスの影響で激減した客足が10月以降に復調した京都、滋賀の飲食店や宿泊施設で、師走の稼働が失速している。国の消費刺激策「Go To キャンペーン」を追い風に急回復した利用は、感染の再拡大とともに減退。年末年始に集中する企業やグループの宴会は吹き飛びかねない状況だ。

 「11月は前年の8割の水準に回復したが、12月は3割に届くかどうか。忘年会が次々にキャンセルになったのが痛い」。老舗料亭「畑かく」(京都市上京区)の店主新造一夫さん(64)はため息をつく。

 名物のぼたん鍋を個室で楽しめる同店は冬が最も活気づき、例年12月は連日満室となる。外食を促す「Go To イート」の食事券利用が京都で始まった10月下旬以降に来店客も持ち直したが、直近の感染者急増で落ち込んだ。「十分換気した個室で定員も大幅に減らしているが、料理屋も居酒屋も『飲食店』としてひとくくりにされる。安心して利用してもらえるように対策を続けるしかない」と新造さんは考える。

 観光支援の「Go To トラベル」で週末を中心に客室の稼働が急回復したホテルの予約動向からも、人々が自粛に傾く兆候がみられる。京都市内の大手ホテルの担当者は「11月の3連休後に宿泊予約のキャンセルが増えた。週末はすぐ別の予約が入る状況だが、11月時点と比べると勢いが落ちた」と打ち明ける。おごと温泉の「琵琶湖グランドホテル京近江」(大津市)は、12月の宿泊予約キャンセルが約2800人発生。11月は平日でも満室の日があったが、金子博美社長は「もともと大阪からの利用が多いので非常に厳しい。今後どこまで影響が続くのか」と心配する。