<教育編 インタビュー①>山極寿一氏が恐れる「オンラインで済む」という感覚 「知識だけでなく体験共有を」
新型コロナウイルスの影響で日本の大学はオンライン授業を取り入れた。今後、大学教育はどう変わるのか。京都大の山極寿一前学長に聞いた。【聞き手・柳澤一男】
――新型コロナの拡大が深刻化した時は、京都大の学長でした。
◆オンライン授業を即刻、始めないといけなかったので、ルーターを1500台用意して学生に無償配布した。また、教員の中でもオンラインでの講義をしたことがない人がたくさんいたので、研修会を実施した。生活に困っている学生については、給付金を大学独自で上乗せし、留学生には日本人学生と同様の条件で給付金を受けられるようにした。これからも、留学生を日本に引き寄せるためには必要だと思ったからだ。大学での資金が不足したので、学生支援のための基金を立ち上げ、教職員や卒業生を中心に寄付をお願いしている。
――全面的なオンライン授業は初めての経験だったと思います。
◆私自身は、大学などが講義の動画をインターネットで配信する「MOOC(ムーク)」を手掛け、実際に自分でも講義をして、将来拡大できるという感触を得ていた。教員からはオンラインでやってよかったとの声もある。これまで大講義室ではなかなか学生から質問がなかったが、オンラインではチャットなどできちんとした質問が来る。しかも出席率がすごくいい。また、障害を持った学生も授業に参加しやすくなった。
――デメリットはありましたか。
◆特にゼミなどでは、人の表情を見て、意見をまとめていくという作業が必要だが、オンラインだとできない。また、手取り足取り指導する実験やフィールドワークは難しい。
――後期に入って、対面授業に戻しているケースも増えてきました。オンライン授業はなくなっていく方向ですか。
◆オンラインだけになると新入生は仲間ができない。…
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