大阪万博承認も会場建設費めぐり関西財界と政府に溝 経団連への不満も

 博覧会国際事務局(BIE)の総会で大阪・関西万博の登録申請書が承認され、開催に向けての準備が本格化する。一方で、会場建設費の負担をめぐり、関西財界と政府の溝が深まっている。約1250億円の建設費は国と地元自治体、民間が3分の1ずつを負担するが、当初試算から上振れする可能性が浮上し、増額分をめぐって意見が衝突しているためだ。関西財界は追加負担を懸念しつつ、寄付集めの遅れが指摘される経団連への不満も強めている。

(黒川信雄)

 「新型コロナウイルスの感染拡大で困っている会社が多い。そこに行って頭を下げ、さらに追加してくれなどとはいえない」

 関西経済連合会の松本正義会長は11月16日の会見で、会場建設費の追加負担の可能性にそう気色ばんだ。関西経済同友会の深野弘行代表幹事も同30日の会見で「非常に懸念している」と語った。

 当初計画では、民間である経済界が負担する万博の会場建設費は約417億円で、そのうち関西財界が約200億円、住友グループ主要企業で構成する「白水会」と経団連が約100億円ずつを取りまとめることになっていたとされる。

 しかし、建設費をめぐり大阪市の松井一郎市長が「2~3割の増額」の可能性を指摘。井上信治万博担当相は9月、大阪での会見で「総額が上振れしても3分の1ずつの負担は変わらない」との認識を示した。これに対し、井上氏との会見に同席していた松本氏は、新型コロナで企業業績が悪化している実情を指摘し「努力はするが、できないことを明確にする必要もある」と負担増に強い警戒感をあらわにした。

 建設費の上振れについては「最初に出た数字に収まることはあまりない」(大阪商工会議所の尾崎裕会頭)など、一定程度はやむを得ないとの受け止めもある。ただコロナ禍で企業業績が急激に悪化するなか、どの企業も負担増に容易に同意できないのが実情だ。

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