コロナ禍での宗教施設の集会規制は憲法違反 米最高裁が判断 

 【ワシントン=平田雄介】米連邦最高裁は25日夜、東部ニューヨーク州が新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な地域にある宗教施設の集会規模を25人以下などに規制したのは、信教の自由を保障した憲法修正1条に違反するとの判断を下した。

 規制対象となったカトリック教徒の団体とユダヤ教徒の2団体が原告となり、「生活の維持に必要不可欠な食料品店などと比べて厳しい制限を宗教施設に課すのは違憲」と訴えていた。

 判決は5対4の多数意見。トランプ大統領が指名し先月就任した保守派のバレット判事が支持し、西部のカリフォルニア、ネバダ両州の規制を据え置いた5月と7月の最高裁判例を転換する形となった。新型コロナ感染者が急増する中、宗教施設での集会規模を制限する他州の判断にも影響を与える判決となった。

 保守派のロバーツ長官は少数意見で「新型コロナの流行下で公衆衛生の担当者が必要とした決断を無視するのは重大な問題だ」と述べ、3人のリベラル派判事とともに反対に回った。

 例年、礼拝への参加者が増える12月24日のクリスマスイブを控え、教会が「集団感染」の温床にならないかも懸念される。

 ニューヨーク州のクオモ知事は26日、原告が拠点を置く地域の規制は既に緩和されているとして「実務上の影響はない」と強調。25日の判決はバレット氏ら保守派判事による「最高裁の政治信条を表明しただけのものだ」と批判した。

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