ブラジルでもコロナ再拡大 富裕層がパーティー再開
【サンパウロ=外山尚之】ブラジルで新型コロナウイルスの感染が再拡大している。新規感染者数は7月末をピークに減少傾向にあったが、足元で増加基調にあり、7日移動平均は約2カ月ぶりに3万人を記録した。気の緩みから富裕層がパーティーを再開し、クラスター(感染者集団)が発生するケースが相次ぐ。
政府の発表をもとに計算すると、新規感染者数(7日移動平均)は17日に3万人と、10日間で約1.8倍に急増。9月以来の水準となっている。リオデジャネイロ・カトリック大学の調査によると、1人の感染者が何人にウイルスをうつすかを示す実効再生産数は1.12と、1を超えて上昇が続く。
国土の大半が南半球にあるブラジルは現在夏季にあたり、日本や欧米のように季節との関連は薄い。感染再拡大の一因となっているのが、経済活動の再開に伴う、富裕層の気の緩みだ。
サンパウロ州の保健衛生の責任者は17日、「(所得水準が高い)クラスAやBの人たちが軽率に外に出ている」と述べ、富裕層がこれまで控えていたパーティーや飲食を再開したことが要因だと指摘した。サンパウロでは日本人駐在員の子弟が通うインターナショナルスクールでもクラスターが発生しており、富裕層が利用する民間病院の病床占有率が高まっている。
ブラジルの累計感染者数は約600万人と、米国とインドに続く3番目だ。もともと欧州へ渡航する富裕層が新型コロナを持ち込み、後に貧困層に広がったことで感染爆発を招いた。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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