IEA、石油需要予測を引き下げ 20~21年
【ロンドン=篠崎健太】国際エネルギー機関(IEA)は12日、2020年と21年の世界の石油需要予測を下方修正した。欧米で新型コロナウイルスの新規感染者数が急増し、行動規制が再び広がっている影響を踏まえた。ワクチンについて「来年しばらくは需要を大きく押し上げる可能性は低い」と記し、効果が期待できるのは21年後半以降との見方を示した。
11月の石油市場月報では20年の需要を日量9130万バレルとし、前月より日量40万バレル引き下げた。前年比の減少幅は過去最大の日量880万バレル(9%)になる見通しだ。7~9月分を日量40万バレル、10~12月分を日量120万バレル、それぞれ前月時点より少なく見積もった。
21年については日量9710万バレルと10万バレル引き下げた。経済活動の再開による燃料需要の復調で、同10~12月期には日量9910万バレルまで持ち直すとみている。ただコロナ禍前の19年10~12月期(1億90万バレル)の水準には届かない。
今週初には米製薬大手ファイザーがワクチンの臨床試験(治験)で高い効果が示されたと発表し、原油先物相場が急上昇する場面があった。IEA月報は「ワクチンで通常生活の再開がいつどのように可能になるか分かるには時期尚早だ」と指摘した。21年前半の需要予測には効果を織り込んでいないと説明した。
10月の世界の石油供給量は日量9120万バレルと、前月比20万バレル増えた。リビアの生産回復や米国のハリケーン被害の復旧で、IEAは11月は日量100万バレル伸びると予測している。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は12月1日に会合を開き、今後の協調減産について協議する予定だ。需要の先行き不透明感を背景に、市場では21年1月以降の減産緩和は先送りになるとの観測が強まっている。
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