最近、手取りが減ったような……と思っている人はいませんか? 一部の人については、2020年9月から厚生年金の保険料がアップしました。保険料を決めるベースとなる「標準報酬月額」が約20年ぶりに引き上げられたためです。引き上げは損なのか、得なのか。詳細や影響についてチェックしておきましょう。
計算機を手に考える女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/miya227)

月収63万5000円以上では保険料がアップ

2020年9月から、一部の人の厚生年金の保険料が引き上げられました。保険料が引き上げられたのは、標準報酬(月収)が63万5000円以上ある高所得の人で、それ以外の人の保険料は変わりません。

厚生年金の保険料は、「標準報酬月額」によって計算されます。

4~6月に会社から受け取った報酬(基本給、残業手当や通勤手当、住宅手当などを含む)を合計し、それを3で割った金額を、「報酬月額」と言います。

この報酬月額がそのまま保険料の計算に使われるわけではなく、「標準月額39万5000円~42万5000円では27等級・標準報酬月額41万円」など、「等級」と「標準報酬月額」が決まります。

こうして求めた標準報酬月額が、その年の9月~翌8月の分まで適用され、厚生年金と健康保険の保険料が計算される仕組みです。

厚生年金を決める標準報酬月額は、2020年8月分まで34等級が最高でしたが、9月分から、35等級が新設されました。報酬月額60万5000円以上の人は一律34等級・標準報酬月額62万円だったのが、標準報酬63万5000円以上では35等級・標準報酬月額65万円にアップしたのです。