学術会議問題、国会で初論戦 野党追及に政府は「違反なし」

衆院内閣委員会で答弁する三ツ林裕巳内閣府副大臣=7日午前、国会・衆院第15委員室(春名中撮影)
衆院内閣委員会で答弁する三ツ林裕巳内閣府副大臣=7日午前、国会・衆院第15委員室(春名中撮影)

 衆院内閣委員会は7日、日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を菅義偉(すが・よしひで)首相が見送ったことについて政府と与野党が初めて議論した。野党は「学問の自由の侵害」「違法行為」などと訴え、見送りの説明を求めたが、三ツ林裕巳内閣府副大臣は「首相が学術会議法に基づいて任命を行った。法律違反との指摘には当たらない」と述べた。

 立憲民主党の今井雅人氏は、平成30年に内閣府が作成した内部文書と、昭和58年の政府答弁との整合性を追及した。同会議の推薦通りに任命する義務は首相にないとした内部文書に対し、政府答弁は首相の任命権を「形式的」としているとして「解釈変更といわれても仕方ない」と訴えた。

 これに対し、内閣府の大塚幸寛官房長は「公務員の選定、罷免は国民固有の権利」とする憲法15条に言及。「この考え方は(58年)当時からあり、解釈は一貫している」と述べ、任命権の裁量は首相にあるとの見解を示した。

 今井氏は内部文書作成の検討が「首相官邸の指示だったか」とただしたが、内閣府日本学術会議事務局の福井仁史事務局長は「官邸の指示に基づいて始めたものではない」と否定した。

 内閣委は当初、新型コロナウイルス対応を主な議題とする予定だったが、野党側が同会議関連の質疑を要求し、与党も了承した。

 加藤勝信官房長官は記者会見で、6人の任命見送りについて「学問の自由への侵害にはならない」と重ねて強調した。一方、立民の枝野幸男代表は政府の説明を「全くのゼロ回答。言い訳すらしようとしない姿勢に強い憤りを持っている。日本はいつから独裁国家になったんだという強い危機感を持つ」と批判し、国会で首相による説明を求める考えを示した。立民や共産などは大西隆元会長ら同会議関係者から個別にヒアリングを行うことで一致した。

 自民党の下村博文政調会長は記者会見で、内閣第2部会に塩谷立元文部科学相を座長とするプロジェクトチーム(PT)を設置し、議論する考えを表明した。同会議の非政府組織化も視野に早期に党の提言をまとめ、政府に伝える方針だ。

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