米大統領選討論会、初回は激しい非難合戦に

 【クリーブランド(米オハイオ州)=黒瀬悦成】11月3日実施の米大統領選に向けた共和党現職のトランプ大統領(74)と民主党候補のバイデン前副大統領(77)による第1回候補者討論会が9月29日、中西部オハイオ州クリーブランドで行われた。両候補は初の直接対決で、互いの「大統領としての適格性」に疑義を呈する、激しい非難合戦を展開した。

 事前に決められた討論のテーマは「両候補の歩み」「連邦最高裁」「新型コロナウイルス」「経済」「人種と暴力」「選挙の正当性」の6つ。両候補は新型コロナ感染拡大を受け握手を避ける一方、マスクをせず90分間の討論に臨んだ。

 トランプ氏は、新型コロナ危機の前までは空前の好景気を実現させ、現在も再び経済と雇用を回復軌道に乗せつつあると強調した。

 対するバイデン氏は「ウイルス危機を解決させない限りは経済を修復できない」と述べ、経済再開や学校再開を急ぐトランプ氏の姿勢を批判した。

 バイデン氏はまた、トランプ氏が最高裁判事に保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁判事を指名したことに関し「次の判事の指名は大統領選後の来年2月に行うべきだ」と反発した。

 新型コロナ危機をめぐっては、バイデン氏が「トランプ氏のせいで20万人以上が死亡した」と非難したのに対し、トランプ氏は「私が(ウイルス発生地である)中国からの入国を制限したから何百万人もの命が救われた。バイデン氏は私の判断を排外主義的だと非難した」と反論した。

 トランプ氏の2016年と17年の所得税の納税額が750ドル(約7万9千)だったと米紙が報じた問題に関しては「私は何百万ドルもの税金を払った」と否定した。

 新型コロナ感染予防のため全米各州で郵便投票が大幅に増えたことについて、トランプ氏が「既に不正が横行している。大惨事になる」と持論を展開したのに対し、バイデン氏は「郵便投票で不正が起きている証拠はない」と問題視しない考えを示した。

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