従来の「『京都駅ルート』の実現」(左)から「京都を通る整備ルート」に表現が変わった京都市の要望書

従来の「『京都駅ルート』の実現」(左)から「京都を通る整備ルート」に表現が変わった京都市の要望書

 リニア中央新幹線の「京都駅ルート」誘致を目指す京都市が毎年国に提出している要望書で、今年から「駅」の文字が消えた。市は「誘致が厳しい情勢の中、京都駅にこだわらず、幅広く可能性を探るため『駅』を取った」と説明している。

 リニアの名古屋―大阪間のルートを巡っては、1973年の基本計画で「奈良市付近」を経由するとされ、2011年の整備計画でも同様の記載がある。これに対し、京都市や京都府、京都商工会議所は「経済効果が大きい」などとして京都経由を求めている。

 京都「駅」の記載が消えたのは、市が毎年政府に出す「施策・予算に関する提案・要望」。今年7月の文面では、従来の「『京都駅ルート』の実現」ではなく、「京都を通る整備ルートの選定」との表現に改められた。

 市リニア・北陸新幹線誘致推進室は「京都駅ルートを求め続けることに変わりはない」とした上で、「京都駅という表現だと範囲が狭い。より幅広く国に検討してもらうため、京都府内への誘致を目指す府の表現に合わせた」とする。

 一方、国土交通省の担当者は「(奈良市付近を経由するとした)整備計画に基づき必要な手続きを進めることが適当。(京都市が記載を)変更したからといって国交省としてどうということはない」と話している。