サマリー
◆日本経済は緊急事態宣言が全面解除された2020年5月を底として、緩やかな回復基調が続いている。最近では、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加しても人出の減少につながりにくくなっており、感染症に対する経済の「耐性」は国内外で高まったと考えられる。
◆足元の景気動向を確認すると、輸出は6月から3カ月連続で増加する一方、個人消費は7月に入って回復が一服した。人出の動きや業界統計、個社情報を踏まえると、8月から9月上旬にかけて小幅に減少したとみられる。7-9月期の実質GDP成長率は日本だけでなく米欧でも前期比年率で二桁台のプラス成長が見込まれる。4-6月期のGDPの落ち込みが大きかった国ほど7-9月期の成長率が高まりやすいという傾向が見られるが、7-9月期のGDPの水準は日米欧いずれも1-3月期を4~5%程度下回る見通しだ。
◆9月16日に菅義偉内閣が発足した。前内閣の取り組みを概観すると、金融市場や雇用、外需の取り込みで前向きな変化が見られた半面、成長力強化や社会保障改革は所期の目標ほど進展しておらず、財政健全化への道筋は付けられなかった。菅内閣にとっての当面の課題はコロナショックへの対応や社会経済活動と感染防止の両立だが、人口減少・高齢化が進む日本にとって成長力強化も喫緊の課題だ。これまでの成長戦略の実効性を高めつつ、コロナショックを好機と捉えた「デジタル社会」と「一億総活躍社会」の推進などが期待される。
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