Fashion & Craftsmanship

現代の名品──欲しいのはハンドクラフト【HERMÈS と LOEWE編】

移り変わりの早いファッションのなかで、いま、本当に欲しいものは何かを考えたとき、人の手の温もりと技術の粋が凝縮された伝統的なクラフツマンシップにぼくらの心は強く揺さぶられる。現代の名品と呼ぶにふさわしい、8つのプロダクトを紹介する。まずは HERMÈS と LOEWEを紹介する。

HERMÈS

カードケース ¥148,000、ストラップ ¥78,000、スマートフォンケース ¥179,000〈すべてHERMÈS/エルメスジャポン〉

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革新されつつ受け継がれる卓抜のクラフツマンシップ

1970年代に誕生した「ヴォー・バレニア・フォーブル」は〝魔法〟のレザーと評され、わずかな傷なら軽く擦るだけで目立たなくなるというエルメスを象徴する素材。アメリカを代表する木工作家であるジョージ・ピーターソンのウッドボウル、そしてそこに盛られたフレッシュなレモンの瑞々しさとのコントラストも、まさに〝マジカル〟だ。最新の「ストラップ」シリーズ(左)は、首や肩に掛けられるストラップと組み合わせるカードケース、コインケース、キーリングなどを、用途やシーンに合わせて替えることができる逸品。また「Hタグ」シリーズのスマートフォンケース(右)は繊細なグレインレザー「ヴォー・エプソン」を使用し、バイアス使いのHモチーフが洒脱なモバイルライフを実現。

LOEWE

バッグ ¥408,000〈Loewe/ロエベ ジャパン クライアントサービス〉

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縫製糸も金具も見えない天衣無縫のごとき逸品

まさに"アーツ&クラフツ"な佇まいでシャルロット・ペリアンのサイドボードに鎮座し、ベルナール・アルバン・グラスのテーブルランプに照らし出されるレザーバッグ。熱気球からインスピレーションを得た「バルーンバッグ」は、20年春夏のウィメンズコレクションで初登場し、今季は大型の2WAYバッグとしてメンズにラインナップ。ロエベ伝統の職人技術を活かし、しなやかなナッパレザー製の巾着を、丈夫なカーフのフレームで包み込むという複雑な構造。この最高品質のナッパは繰り返し使用してもシワが寄りにくく、ハトメ金具を使用しないことで、上質な革の艶と超絶技巧を際立たせている。静かに寄り添うセラミックのピッチャーは、ジョルジュ・ジューヴ作。フランスを代表する名品たちが、レザークラフトの最高峰と共鳴する。

Photos 長山一樹 Kazuki Nagayama@S-14

Styling 池田尚輝 Naoki Ikeda / Editor 飴李花 Junya Hasegawa@america