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名品復活モデル7選「名門ブランドの  古典は正義だ」──2020年新作時計 Part 1【ブライトリング、タグ・ホイヤー、ロンジン編】

アーカイブを渉猟して、復刻モデルや周年モデルを打ち出し、それらを通してブランドのヘリテージを語るのは、いまや大きなトレンドである。最新スペックでヴィンテージの魅力をアップデートした新作を、厳選して紹介する。今回はブライトリング、タグ・ホイヤー、ロンジンの3本を紹介。
ブライトリング

名畑政治 
時計ジャーナリスト
ファン待望!蘇った幻の名機

BREITLING

スーパーオーシャンヘリテージ ’57

これまで「なぜ1957年の『スーパーオーシャン』を復刻しないのか?」と不思議だったが、新しい経営体制となり、ついにオリジナルをほぼ復元したこのモデルが登場した。とはいえ完全なレプリカではなく、オリジナルを尊重しつつ現代的にモディファイされた部分もある。しかし不自然さはまったくなく、ヴィンテージ感とモダンさが見事に融合した、新たな傑作といえるだろう。なお期間限定生産なので、のんびりしていると販売終了してしまう。決断は急がなくてはならない!

ブライトリング初のダイバーズ復刻版。視認性とスタイリッシュさを兼備するデザインを再現。SSケース&ブレスレット、自動巻き、42mm径、期間限定生産。¥545,000〈BREITLING/ブライトリング・ジャパン〉

篠田哲生 
時計ライター
“伝統と革新”とはこういうこと

TAG HEUER

タグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバーダイヤルリミテッドエディション

1962年に誕生した「カレラ」は、薄いベゼルやスラリと長いラグでエレガントな雰囲気を醸し出すタグ・ホイヤーの傑作時計だった。しかし近年はスポーティさを強めており、ファンの目線からすると〝まったく別物〟になりつつあったのも事実だろう。だからこのアニバーサリーモデルの登場には心が躍った。ケース径はやや大きくなったが、いわゆるカレラらしい優雅なデザインをしっかり踏襲する。革新するいっぽうで、伝統の価値も忘れない。それが名門の矜持なのだ。

搭載ムーブメントは最新型。SSケース×アリゲーターストラップ、自動巻き、39mm径、世界限定1860本。¥695,000〈TAG HEUER/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー〉

広田雅将 
時計ジャーナリスト
ここまでやるか、のエイジング

LONGINES

ロンジン  ヘリテージミリタリー

復刻モノにいっそうの冴えを見せるロンジン。長らく、復刻版には日付表示を付けてきたロンジンだが、最近は純度を高めるためなのか、日付なしが当たり前になった。加えて、文字盤と針の夜光塗料にはあえてのダメージ加工を施している。筆者の知る限り、これらの部品にダメージ加工を施す時計メーカーはロンジンしかない。とはいえ、ケースは現代の時計らしく良質で、さらに防水性能は30mもある。そしてパワーリザーブは約64時間。この復刻モノはおすすめの1本だ。

見た目はアンティーク調ながらも、普段使いが可能なスペックをもつ「新作」。SSケース×カーフストラップ、自動巻き、38.5mm径。¥240,000〈LONGINES/ロンジン〉

Photo 星 武志 Takeshi Hoshi@estrellas

Styling 石川英治 Eiji Ishikawa@T.R.S