リオ・ティントCEO辞任へ 先住民遺跡破壊で引責
【シドニー=松本史】英豪資源大手リオ・ティントは11日、ジャンセバスチャン・ジャック最高経営責任者(CEO)が辞任すると発表した。後任は未定。同社は5月、鉄鉱石鉱山開発を目的にオーストラリアの先住民、アボリジニの洞窟遺跡を破壊したことで内外から批判を受けていた。ジャック氏はこの責任を取る形だ。
次のCEOが指名され次第、ジャック氏は辞任する。後任が決まらない場合でも2021年3月末までに退く。
同氏はインドのタタ製鉄などを経てリオに入社し、16年CEOに就任した。石炭資産をすべて売却するなど資産構成の見直しを進め、気候変動対策にも力を入れた。
リオは5月24日、西オーストラリア州でアボリジニの人々が4万年以上前に居住したとされる洞窟遺跡、「ジューカン・ゴージ」を爆破した。13年に地元政府から開発の許可は得ていたが、アボリジニの団体は遺跡の重要性を訴えていた。
世論の反発を受けリオは8月に調査報告書を発表。「文化遺産の保護に関して、自社の内部基準や手続きを満たしていなかった」と認め、ジャック氏らの報酬削減を決めた。
リオはジャック氏の辞任について「多くのステークホルダー(利害関係者)が経営幹部の責任について懸念を表明していた」と説明した。サイモン・トンプソン会長は声明で「ジューカンで起きたことは間違っていた。考古学的にも文化的にも非常に重要な遺跡の破壊は、二度と起こさないと我々は決意している」と述べた。