日本企業が女性の活躍推進に熱心に取り組んでも、ジェンダーギャップ指数の順位は返って悪化するばかり。その原因の一端は、日本女性が担っている家庭での膨大な仕事にありました。ドイツ出身で、日本歴22年のサンドラ・ヘフェリンさんは、こうした女性を疲弊させる小さな家事の積み重ねにサヨナラしていくことが大切と説きます――。

※本稿は、サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

お弁当のランチ
※写真はイメージです(写真=iStock.com/yajimannbo)

「キャラ弁」は必要なのか

ニッポンの日常生活には「女性を疲労させる小さな縛り」がいたるところに潜んでいます。小さくても日々積み重なれば、間違いなく女性のキャリアに支障をきたすようなものばかりです。でも「睡眠を十分とって元気でいる」ためには、そこを自らの判断で「削る」勇気が必要です。たとえば「手作り」というキーワード、そして「キャラ弁」。「やっぱり手作りで自然なものが一番健康に良いわよね」「子どもが喜ぶことを考えるとキャラ弁はやっぱり必要よね」というのは正しいです。でも気になるのは、ここではお母さんの労力や疲労が全く考慮されていないこと。

健康のため、子どもの笑顔のため、と言えども、母親が万年睡眠不足となれば自身の健康にも良くないですし、「最小限の労力で済む」ことを優先すべき場面も少なくありません。子どもを育てているお母さん方と話をすると「けっこう手を抜いてやっているのよ」とおっしゃいますが、外国で育った私のような人から見ると、ニッポンのお母さんは「寝なさ過ぎ」です。