富士ゼロックスは2020年9月3日、米スタートアップのRipcord(リップコード)と新会社を設立すると発表した。新会社は富士ゼロックスが持つBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のノウハウとリップコードの人工知能(AI)ロボットを組み合わせ、企業が保有する大量の紙書類の電子化を支援する。2020年代半ばに300億円以上の売り上げを目指す。

米Ripcordが開発した紙の書類を電子化する機器
米Ripcordが開発した紙の書類を電子化する機器
(出所:Ripcord)
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 2社の折半出資で、2020年9月中に新会社「富士フイルムRIPCORD」を設立する。近く日本で営業を始め、富士ゼロックスの営業エリアであるアジア太平洋地域でも事業を展開する。

 新会社は企業向けに紙の書類の電子化や業務プロセス変革を手助けする。まずリップコードのAIロボットを活用し、企業が保管する大量の紙の書類を電子化する。同社のAIロボットはホチキス留めを自動で取り外すことが可能だ。

 その後、文書を検索・活用しやすいように、タイトルなどの属性データをAIが自動でタグ付けし、分類する。データはクラウドに保管する。例えば金融機関であれば、預金口座の開設時に顧客が手書きで記入した申込書を電子化するといった用途を想定する。既に三菱UFJ銀行がリップコードのAIロボットを活用し、3億枚以上の印鑑票を電子化することを発表している。

 富士ゼロックスはソリューションサービス事業の強化を急いでおり、リップコードとの新会社設立もその一環だ。リップコードは米シリコンバレーの新興企業で、米Apple(アップル)の共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏や米Google Ventures(グーグル・ベンチャーズ)などが支援している。