Zoom、5~7月の売上高4.6倍 ビデオ会議が定着
【シリコンバレー=佐藤浩実】ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは31日、2020年5~7月期の売上高が前年同期比4.6倍の6億6352万ドル(約700億円)だったと発表した。オフィスの再開が徐々に進むなかでも2~4月期の2倍超に売り上げを伸ばし、ビデオ会議の浸透ぶりを映し出した。
純利益は34倍の1億8574万ドルで、19年4月の上場以降で初めて1億ドルを突破した。従業員10人超の企業・団体の契約数が5.6倍の37万件に跳ね上がったほか、契約規模が年間10万ドルを上回る大企業の利用数も2.1倍の988件に増えたためだ。新型コロナウイルス下の在宅勤務を機にビデオ会議を使い始めた企業が、段階的に出社を認めるなかでも継続利用している。
地域別では、4億5420万ドルの売り上げがある米州が全体の68%を占めた。欧州・中東・アフリカは1億2800万ドルで2割弱だが、前年同期からの伸び率は7.7倍と最大だった。日本を含むアジアの売り上げは8140万ドル。ズームは8月に中国での直接販売をやめており、欧米の比率は今後さらに高まる可能性がある。
ズームはセキュリティー対策の集中期間を終えた6月末以降、プレゼン資料を背景に映したりフィルターを付けたりといった新機能の拡充を急ピッチで進めている。5~7月期は研究開発費を2.8倍の4273万ドルに増やし、営業費用も2倍の1億5917万ドルに積み増した。
コロナを機に激しくなった競争でも、今のところ優勢を保っているようだ。複数の企業向けサービスを手掛ける米マイクロソフトや米グーグルなどが相次いでビデオ会議の強化を打ち出したが、簡便さから社外との打ち合わせではズームの利用を続ける例が多い。
ズームは21年1月期の通期業績予想を上方修正し、売上高が23億7000万~23億9000万ドルになる見込みだと公表した。ズームの株価は31日終値時点で325ドルと年初と比べ4.7倍の水準となったが、同日の時間外取引でも終値を2割超上回って推移している。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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